第11話：違くない、そうだ。 ページ11
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血液や毛髪、皮膚と骨が焼き焦げ、火葬場のような禍々しい空気が立ち込める。
｢付せろ｣
天地も張り裂けんばかりの喚き声は、摂氏2000度はゆうに超えているだろう蒼炎が燃やし尽くした。
｢ゴミならせめて、燃えて俺の薪となれ｣
この声を聞くことも無く死んでいったんだろうなァと考えながら振り向くと、裏路地の入口前に男の姿をしたAが立っていた。
｢だ、荼毘くん……！｣
逆光の為、細かな表情を読み取ることは出来ないが、その両肩は僅かながらに震えている。
｢良かった生きてたぁ〜ほんと……｣
｢あの程度で死なねェわ｣
脇目も振らず一直線に俺へ抱きついたAは、微かに酒の匂いが混ざる香水を纏っていた。
ペンハリガン。ザ トラジェディ オブ……。
あまりに長い商品名を覚える気など無かったが、特徴的な雄鹿の瓶の美しさを熱心に語っていたことは記憶に新しい。
｢野郎からのハグなんて需要無え｣
｢ちったァ再会を喜んでくれたっていいじゃんかよ〜｣
目鼻立ちの整った顔は涙でぐちゃぐちゃになり、柔らかな髪が俺の肌を掠る。
Aはヤケに涙脆い。女児向けアニメの最終回で基本泣く。動物感動系番組でも泣くし、二番煎じの家族ドラマでは大洪水だ。
｢ッはぁ……男の姿してる時の方が体力あるんだ。皆を探し回るにはこっちが適してる｣
ずび、と洟を啜ったAは地面へ崩れるように座り携帯を見て溜息を吐く。
｢仁くんは絶賛情緒不安定だし、義爛くんから『荼毘と連絡取れないか?』ってめっちゃ聞かれるし本当……。とりあえず無事で良かったよ｣
Tシャツの衿巾を引っ張って涙を拭ったAは吹っ切れたように立ち上がり、俺の手を引いた。
｢帰ろう荼毘くん。みんなが待ってる｣
｢……手ェ繋ぐなら、せめて女に戻れ｣
｢へいへい｣
コンマ1秒で華奢な女へと姿を変えたAに数歩遅れながら歩く。無邪気な妹みたいだ。
｢(何考えてんだか、俺)｣
思い出したくないような、大切にとっておきたいような記憶が断片的に脳裏に浮かぶ。
｢神野のカウンターバー無くなっちゃったじゃん? 次の居場所、だ〜いぶ辛気臭くて嫌ンなるよ、絶対｣
｢あァ、そうかよ｣
つらつらと、この数日間の出来事を余すこと無く喋るAへ適当に相槌を打つ。
夏季限定のスイーツは生ものが多くて結局
……居場所、か。
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乃愛(プロフ) - ほんとうに、すきです... (2021年10月3日 1時) (
レス) @page28 id: 78a106acd8 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - もう好きです！あづまさんの小説！これからも読ませてください！ (2021年9月27日 6時) (レス) @page23 id: 30b611b787 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - すごい主人公の危うさが綺麗に表現されていて好きです！(語彙力なくてすみません) (2021年9月22日 18時) (レス) @page16 id: 7259fb1aa4 (このIDを非表示/違反報告)
御堂(プロフ) - 初めまして。こういった敵連合のお話すごく好きなので嬉しいです、前作から見ていて言葉の表現とかタイトルとか凄く綺麗で読みやすいな~と思いコメントさせて頂きました…！無理せず更新頑張ってください！楽しみに待っております◎ (2021年9月18日 13時) (レス) id: 45dbeb9083 (このIDを非表示/違反報告)
落魄 - すみません、誤字がひどいですね。最後の分はあづまさんがいいならコメントしたいのですが大丈夫でしょうか？と打とうとしたものです。支離滅裂な文章ですみません。 (2021年9月18日 11時) (レス) id: 03af4fb6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あづま | 作成日時：2021年9月18日 1時
