第1話：下を向いて立ち止まろう ページ1
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昼下がり、東京の空。
青嵐をも掻き消す都心のビル風は、ホークスに仕える深紅の剛翼を大きく翻した。
｢それでね、今日はSUQQUの新作発売日だったの｣
｢すっく……？｣
｢あは、デパコスのこと｣
｢でぱこす｣
｢ふふっ｣
感情の籠らないオウム返しの連続をよほど気に入ったのか、目の前の女性は子供のようにころころ笑っている。
｢なんだかね。昨夜までは楽しみで仕方なかったのに、手に入った瞬間どうでもよくなっちゃったんだ｣
真っ黒な紙袋に凹凸のある印刷が施されたショッパーを指先でぶらりぶらりと弄ぶ姿に俺は顔を顰めた。
この人は、何がしたいのだろう。
｢……柵から降りませんか? そこに座られるとなんすよ、俺｣
待ち合わせの集合場所に向かう途中、ビルの屋上に人の気配を感じ、妙に惹かれてしまったのが運の尽きだ。
｢大丈夫。死のうなんて思ってないよ、私｣
そうじゃなくて、と右手を差し出すも徒労に終わるだろうなという直感は的中し、彼女は手摺りに座り込み、都心に生きる人々を見下ろす。
傍で見てるこっちがヒヤヒヤしてしまうばかりだ。
｢最近の人は、み〜んなスマホばっかり眺めてさぁ、誰も上を見なくなっちゃった｣
｢そうですか？綺麗な空の写真とか撮るでしょう｣
話の腰を折らないよう、ポケットに入れていたスマホを取り出しカメラアプリを起動させ手前に構える。
｢……えっ｣
さっきまでそこにいたはずの彼女が、忽然と姿を消した。画面に移るのは、東京の雑然としたビルの山と青空だけだった。
｢ど、どこにッ？｣
背中に力を集中し、何枚かの羽を瞬時に飛ばす。
しかしそれらは空回りするばかりで、何処にも人の気配を感じない。
｢落ちたかッ！？｣
急いで地面を覗き込むも、人が叩きつけられた様子はなく、地上では多くの人々が普段通りに横断歩道を渡っている。
｢居なくなっ、た……｣
緊張と焦りで動悸が激しい。
＊＊＊
｢ってことがあったんですよぉ、えんでゔぁ〜さ〜ん｣
｢ホークスお前、相当疲れてるな？｣
出来たての唐揚げを3つ同時に頬張った彼を尻目に、度数の高い日本酒を一気に飲み干した。
｢良い霊媒師紹介してくださいよ〜絶ッ対幽霊です｣
｢くッだらん、いい歳して何を言うかと思えば！｣
｢だって！ビルの屋上から落ちて！消えたんですよ？！｣
｢瞬間移動の“個性”持ちだったんじゃないか｣
そういう感じではないんだよなと思いながら、掴み損ねた出汁巻き卵が力無くテーブルで跳ねた。
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乃愛(プロフ) - ほんとうに、すきです... (2021年10月3日 1時) (
レス) @page28 id: 78a106acd8 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - もう好きです！あづまさんの小説！これからも読ませてください！ (2021年9月27日 6時) (レス) @page23 id: 30b611b787 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - すごい主人公の危うさが綺麗に表現されていて好きです！(語彙力なくてすみません) (2021年9月22日 18時) (レス) @page16 id: 7259fb1aa4 (このIDを非表示/違反報告)
御堂(プロフ) - 初めまして。こういった敵連合のお話すごく好きなので嬉しいです、前作から見ていて言葉の表現とかタイトルとか凄く綺麗で読みやすいな~と思いコメントさせて頂きました…！無理せず更新頑張ってください！楽しみに待っております◎ (2021年9月18日 13時) (レス) id: 45dbeb9083 (このIDを非表示/違反報告)
落魄 - すみません、誤字がひどいですね。最後の分はあづまさんがいいならコメントしたいのですが大丈夫でしょうか？と打とうとしたものです。支離滅裂な文章ですみません。 (2021年9月18日 11時) (レス) id: 03af4fb6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あづま | 作成日時：2021年9月18日 1時
