【MHA】編入生は、何かおかしい。【男主】 (ページ7)

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side Todoroki

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理解出来ない──

相澤先生から編入生として紹介されて一週間と少し。

教室で話をする機会は無かったから常ツ御門の印象は“子供”のままだった。

爆豪の宣誓に遅れてきて噛み付いた時は少し驚いたが、それだけ。

だから、特に気にも留めていなかった。

俺達が障害物競走のゴールしてから、モニターに映る常ツ御門を見るまで。

躾られた犬みたいに相澤先生の許可で文字通りスタート地点を飛び出し、障害物を個性(チカラ)で捩じ伏せて進むその小さな体躯が酷く大きなモノに感じた。

愉しそうに笑って走り、速度を落とさないアクロバティックな着地とリスタート。

地雷が爆発するよりも速く駆ける推進力。

幾らリードがあっても青山が先にゴール出来たのが不思議な程で、その場の誰もが声を発せない。

驚きやら恐怖やら、様々な感情がごちゃ混ぜになったような空気が俺達を支配し、カラリと渇いた喉がチクチク痛みを訴える。

だからか、泣き出しそうだった常ツ御門が体内から血を溢れさせてぐらりと体が傾いたのが見えても、足が地に縫い付けられたように動かない。

けど実況席に居た筈の相澤先生が常ツ御門を受け止め、

相｢……マイク、そっちは頼んだ。俺は常ツ御門(コイツ)をばあさん所に連れていってくる｣

マイク先生に向かってそれだけを言うと、常ツ御門を抱え上げてリカバリーガールの元へ歩いていった。

驚きつつも実況を続ける先生にプロ根性を感じながら、最後の奴がゴールするのを見守る。

丁度その頃、相澤先生が実況席に帰ってきた。

マ｢お、イレイザー！快進撃で会場を湧かせてくれた編入生(リスナー)はどうだった！？｣

相｢見事にばあさんのドクターストップがかかった。…起きたら随分と駄々を捏ねられそうだ｣

ドクターストップ、という単語に会場がざわつき驚きの声があがる。

勿論、生徒からもあがる。

けど俺は安心した。

“子供”だと思っていた常ツ御門(編入生)が“子供の姿をした酷く危ういモノ”だと分かって、闘わなくて済むから。

莫大な代償(ドクターストップがかかるほどのムチャ)を払っ(し)てでも頂点を目指す狂気と相対さないでいられる。

──｢ひとつ、消(バラ)せば…｣

怨嗟や憎悪の籠ったようなあの(ブキミな)瞳が、

轟｢…本当に、常ツ御門(アイツ)は何者なんだ？｣

俺に向かないで済むから。