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side ALL MIGHT
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相澤くんに対面のソファで棒付きキャンディーを美味しそうに舐める、常ツ御門少年を見ていてくれと言われてから早30分──
｢おるま、と、さん…？｣
相澤くんが呼んでいたのを覚えていたらしく、私の名前を首を傾げて少々舌っ足らずに呼ぶ。
｢なんだい？｣と返せば、名前を楽しげに連呼する常ツ御門少年。
この無邪気に跳ねる小さな少年が高校生で、
少なくとも、私はこの姿を見ただけでは分からない。
そして普段の生活の中で出会ったとしても想像すらしないだろう。
何故ならば人は成長する過程で“やってはいけない事”など、世間で“常識”と呼ばれるものを学ぶから。
“常識”を形成する前の段階、物事の善悪の区別がついていない状態で彼の時間は──
｢おるまと、さん！ゆ、え、たくさ、ってなぁに？｣
ガンガンガンガンと金属が机を叩く音に意識が引き戻され、幼い疑問を耳が拾う。
オ｢雄英体育祭かい？うーんと…学年で1番凄い人を決めるお祭り、かな｣
｢がく、ね…ん？い、ちばん？おま、つり？？｣
比較的噛み砕いたつもりの説明だったが、こてんと首を傾げて更に問われる。
オ｢学年っていうのは、相澤くんのクラス…は分かるかい？｣
｢くら、す…あ！おにーさんとおねーさん達、いる所！｣
オ｢そうそう！そのクラスが後10個分あって、そこにいる全員の事だよ｣
｢がくねん、は、いっぱいのおにーさんとおねーさん、のこと…｣
常ツ御門少年はなかなか物覚えが良いらしく、説明を自分なりに噛み砕いて取り込んでいるようだ。
そんな感じで訊かれた事を相澤くんが来るまでゆっくりと説明していく。
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雄英体育祭の簡単な説明を終えた頃、相澤くんが常ツ御門少年を迎えにきた。
途端に目を輝かせて駆け寄り、相澤くんの周囲をぴょんぴょんと跳ね回る。
そんな彼を捕縛武器で捕まえて動きを止めると、何があったのかを問う。
｢あいざ、さん！異異、ゆえたくさ、出たいの！｣
質問への答えにはなっていないが、相澤くんは目を見開く。
少し思案するような素振りを見せて、｢ついてこい｣とだけ告げると部屋から出ていく。
ドアが閉まる直前、目が合った相澤くんに目礼されてちょっと嬉しかった。
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作者名：Silly Alice | 作成日時：2018年4月8日 15時
