Return to daily life ページ13
沈んでいた意識が浮かび上がり、重い瞼を僅かながらに開く。
途端に差し込む眩しい光に目を閉じ──
.
.
.
.
.
──るような必要は無く、馴染み深い薄暗さが広がっていた。
一先ずの安心に細く息を吐き、忍び寄る睡魔を追い出すと意識の力で瞼を押し上げた。
すると視界の端へ映る違和感。
具体的に言えば、巨大な獣の体毛。
ゆっくりと首を捻ると、自分の視線と優しく柔らかなそれが交わった。
｢良く眠れたか、主よ｣
鋭い牙の生えた大きな口で紡がれた、問い。
長らく聞き続けた、懐かしい声。
戸惑い焦る脳内とは裏腹に、体は、口は、自然と動く。
｢嗚呼。世話を掛けたな、───｣
身を起こし、そう告げた体は巨大な狼と向き合う。
｢主、そのような言葉を我に向けるなど勿体ない｣
狼の謙遜。
脳が、
“
｢───、顕現し私を護ってくれた事、心から感謝する。……ありがとう｣
感謝の言葉に数瞬固まった後、大きな顔ですり寄り、甘えるような鳴き声。
愛しさに溢れ、撫でてやると蕩けたような声を漏らす。
それがまた愛しくて撫で続けていると、巨狼が淡く輝き出す。
｢…時間が来てしまったな、主｣
耳をへたらせ、悲しげな瞳を向けるものだから、
｢大丈夫、すぐに会える｣
少しでも気が紛れれば、と、言葉と鼻頭へ口付けを贈る。
驚いた表情を浮かべると共に、光の粒子となってしまった。
｢私も、帰らないといけないね…｣
自分に言い聞かせるように発した言葉。
未練など、煩わしいものを首を振って追い出す。
部屋の隅に置かれたベッドに腰掛け、胸に手を当てる。
──思い描くは、元の自分。
──至って普通の人間。
目を閉じたその身を光が包み、現れたのは平凡な少年。
つまりは、伊集院 辮 。
怠い体を横たえ、掲示板へのみ繋がるPCを操作して『YS』に関連する板へ移動、キーボードを叩く。
Enterを押すと同時、夢の世界へと旅立った。
Announcement of tea party→←Summary site【Yggdrasill Saga】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Alice(プロフ) - ロットさん» ありがとうございます！夢主の説明部しかまだ書けておらず、全然ヒロアカ感無いですよね、すみませんm(_ _)mヒロアカ感が出るように、更新頑張りますね！ (2018年1月22日 1時) (
レス) id: 9007c89a5c (このIDを非表示/違反報告)
ロット(プロフ) - 面白いです！ヒロアカ感をもっと出して欲しい (2018年1月22日 0時) (レス) id: a2aee53916 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Alice | 作成日時：2017年5月18日 23時
