【ⓓ！】少女漫画から転生しました、負けヒロインです。 (ページ8)

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「まず...ここにずっと置いておくことはできない。」

『はい。皆さんに迷惑かけると申し訳ないですし、それに私も帰.....』

帰りたい。そう言おうとした時あの言葉を思い出す。

もし私が帰ったら何があるんだろうか。
メリットはなんだろうか。
私が帰ることで誰かの邪魔になる。だったら帰らない方がいいんじゃないか。

色んな想像が過ぎり、途中で途切れた言葉。

私ってどこに行っても邪魔なんだなぁ...

人様の前で泣けないと滲む視界を零してしまわないよう何度も瞬きをする。

「Aちゃんやっけ？」

『...ぇ？はい...』

涙をこらえてるからか声が裏返る。
今でも滲む視界を何とかして誤魔化そうと誤魔化し方を考える。

「今日は疲れたやろ？」

糸目の男の人は私の方に近づいてくると私を抱きしめる。
顔は見えないよう彼のお腹にぴったりとくっついていて気をつかってくれたんだとすぐにわかった。

「グル氏、今日はここ使ってええやろ」

「...あぁ、好きにしろ。」

「珍しく優しい〜」

そんな声が聞こえたと思えば座っていた私の身体は宙に浮く。
思わず彼の顔を見ると、目を開けている彼と目が合う。

森林のような深い緑の目。
ずっと見ていたら心の内の全てが知られてしまう気がして目を逸らす。

「今日は取り敢えずここに泊まっていって」

そう言うと真っ白なベッドの上に優しく下ろしてくれる彼。
そして深堀しないと言うようにすぐベッド周りのカーテンを閉めてくれた。

きっとこの人達にも迷惑かけちゃってるな。

心の中で呟いてから、静かに目を閉じた。