【ⓓ！】少女漫画から転生しました、負けヒロインです。 (ページ20)

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「耳舐めただけじゃないっすか。なんでそれだけでキレてんすか。」

『そりゃあ誰でもキレるだろ〜！！！』

木の上に登れば私を見下すように足をおろしてぷらぷらしている彼。
猫のしっぽみたい。

「まずなんであんたがここに居るのか簡潔に説明してください。」

『えーっと...なんだっけ...？』

「あんた鳥かなんかですか？」

『うるさいなぁ！ライオンで全部吹っ飛んだの！』

そう言うと彼は呆れた顔をしている。
私は彼を少し待たせてやっと思い出した。

『指輪！野良猫に盗まれたんだって、だからそれを探してたんです！』

「へ〜.....その指輪ってもしかして...これっすか？」

そう言ってポケットから出したのは指輪だった。
指輪の裏側が見えてないので分からないが特徴は殆ど一緒の指輪。

『ん〜...わかんないので近くで見せてください』

そう言うと彼は無表情で木を降り、こちらによってきてその指輪を見せてくれる。
私はその指輪の裏側を見るために屈んで覗き込むと聞いた名前と同じものが掘ってあった。

『あ！これです！見つけてくれてありがとうございます...探してたんですよ！』

「.........そうっすか。」

彼は暫く私を見てから言葉を返す。
そしてそれだけ言ってまた固まる彼をずっと待っていると彼はいきなり吹き出して笑う。

「はっはっはwこんなに隙があるんやからすぐに取って逃げたらええのに」

いきなり笑いだした意味も何故取って逃げる必要性があるのかも分からずぽかんと固まる。
そんな私を放っておいて笑い終えた彼は一言

「あんたそんな素直に生きてよく苦労しなかったっすね」

笑って出た涙を拭き取りながらそういう彼。
私は何故これで素直になるのかわからないまま彼を見つめる。

「これ俺が盗んだ可能性とか考えないんすか？」

『え？だってライオンから助けてくれたよ？』