【ⓓ！】少女漫画から転生しました、負けヒロインです。 (ページ16)

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「あ、折角だからさ愚痴っていい？」

『え？はい...？』

「俺の国ってさ白いのがいっぱい居るんだ。人より肌が白いんだけどさ〜それだけで差別されんの」
「それで君の国でもあったと思うんだけど、白人と黒人で差別みたいなのあったじゃん？」
「そういうのって違う世界行ったら無くなると思ってたんだけど、案外どの世界でもあるんだね。」

「人間ってどの世界でも変わんねぇわ。」

私は彼と変わらない日本で生きてきた。
でも全てがキラキラでドキドキしてると思っていたのは自分と近くを見ていただけで。
彼のようにもっと広い場所を見ていなかったからキラキラしていたのかもしれない。

「あ、俺そろそろはうす探してこないといけないから行くわ」

『は、はい！！お気をつけて！』

「ま、悩んでても始まんないし、取り敢えずがむしゃらに歩き回んのが大事。じゃねばい！」

そう言いながら彼は手を振り、軽々と扉を開け出ていった。

突然現れ、早々と消えていく、まるで嵐。
部屋には静けさのみ残っている。

『日本から来てこの世界の頂点に上り詰めたの...？』

静けさが運んでくる彼が残した謎。
沢山あった中でも1番の謎だった。
日本から来て知らない世界で国の代表になるなんて。

不安とか恐怖とかそういうものはなかったんだろうか？

なんて疑問が浮かぶが、その答えを考える暇もなくすぐに答えは見つかった。

『がむしゃらに歩き回る...』

私と彼の違う所は挑戦する心だ。

彼はきっと挑戦し続けていた。
ここに飛ばされた時からずっと。

私はここに来て助けて貰ってそのままだ。

皆に頼りすぎてた。

私は意思がなかった。

彼の言葉に背中を押されたように私はベッドから飛び降り、
重たい扉を自分の全体重をかけて開ける。

広い廊下に飛び出せば、廊下の静まり返った空気を蹴って、
何処にあるのか分からない出口に向かって走った。