・ ページ29
⠀
それからの僕は自分でも恥ずかしくなるくらいまっすぐやったと思う。次の日には35期を集めて会議を開いた。もちろんAは抜きで。
杉本「たしかに俺らも気になっとったばい」
山田「俺らが出待ちの対応してるときに、キョロキョロしてるのみたわ」
違和感を覚えていたのは僕だけじゃなかったみたいで。
織「しばらくは私の家に帰らせようか？」
洲崎「まだAだけが狙われてるって分かったわけじゃないし、危険すぎるやろ…」
会話の中に重い沈黙が流れる。
「僕が預かるわ」
「……えっ？」
「僕の家が一番劇場から近いし、なんかあったときも逃げこみやすいし。預かるって言っても毎日じゃなくて夜遅い公演がある日だけ」
少なからず反発の声もあったけれど、代替案があるわけでもないし、Aの意見も訊くって条件付きでとりあえずは僕が預かることに。劇場への行き帰りは必ず誰かが付くことと支配人にも相談することで話は一旦落ち着いた。
僕の家で過ごすことに最初は戸惑ってたAも、誰かがそばにいる方が安心するみたいで笑顔が増えた。その笑顔の理由に僕の存在があることを祈りながら、毎日家路つく。
そのうちあいつの姿を見ることはなくなり、ずるずると続いていた同居もだいぶ昔に終わりを告げた。
あの狭い部屋にどうやって二人寝てたっけ？
我が家にAが来たことは、あれ以来一度もない。
同期はあの時の話を九条がAに優しかった頃のエピソードみたいに酒の席で話すけど、少なくとも僕は今でもAのことを守りたいって思ってる。
まあ、あいつが僕のことを『ジョーくん』って呼んでくれる限りは。
『なあなあ』
「なんやねん。」
『タバコやめてや。』
「嫌や。急に何やねん。」
『ジョーくんには長生きしてもらわな困るんよ』
(お前が死ぬまで死なれへん体やねんで？とっくの昔から)
⠀
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 503人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねる(プロフ) - ねこさん» コメントありがとうございます。心待ちにしていたと言っていただけてすごく嬉しいです。皆様のリクエストを踏まえた続編にできるよう頑張りますね！ (2022年6月22日 17時) (
レス) id: b46a5649b3 (このIDを非表示/違反報告)
ねる(プロフ) - りまさん» コメントありがとうございます。続編も考えてみますね！ (2022年6月22日 17時) (レス) id: b46a5649b3 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - はじめまして。毎回の更新を心待ちにするほどこの作品を読むのが楽しくて大好きだったので完結記念にコメントさせていただきました。結婚後ストーリーも作者様の無理のないペースの中で是非読んでみたいです！ (2022年6月21日 22時) (レス) @page50 id: ce4acb1eb6 (このIDを非表示/違反報告)
りま(プロフ) - 終わってしまうのがさびしいです。結婚後のお話も楽しみにしています (2022年6月21日 19時) (レス) @page50 id: 05beb7e26c (このIDを非表示/違反報告)
ねる(プロフ) - みーんさん» コメントありがとうございます。楽しみと言っていただけて嬉しいです。期待に添えるように頑張りますね！ (2022年6月14日 18時) (レス) id: b46a5649b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ねる | 作成日時：2022年3月23日 19時
