どうして？ ページ2
『私がどれだけオッパを好きか、見てもらいたいだけだから･･･。』
そう言われた事は覚えている。
そう･･･
そう言われて･･･あの子が笑ったの･･･。
どうして、こんな事になったの？
＊＊＊＊＊＊
気づけば、何故か女性の悲鳴が飛び交っている。
院内が騒然としていた。
『女の子が階段から落ちたぞっ！』
そう叫ぶ男性の声がした。
(･･･え･･･なに･･･？
落ちた･･･？)
確かに目の前にいたはずの彼女が、いなくなった。
『突き落とされたんじゃないのかっ？警察だっ。警察呼べっ。』
状況が、飲み込めなかった。
自分の耳に入ってくる言葉を、必死に理解しようとした。
ゆっくりと階段の下に視線を落としていく。
それが下のフロアに辿り着いた瞬間、Aはヒュッと小さく息を吸って飲み込んだ。
ソユが･･･倒れていた。
(･･･なに･･･？)
下にいる人達が、まるで怖がるように自分を見ている。
(何が起きてるの･･･)
ズルズルと座り込むと、壁にベッタリと身体を預けた。
もう、そこからは無意識だった。
震える手で鞄から携帯を取り出し、ヒチョルに電話をかけた。
必死に携帯を操作するものの、震える指が何度も何度も間違ったボタンを押す。
その度に、焦りが増した。
やっとコールし始めた電話を、強く耳に押し付けて、両手でギュッと握り締めた。
なかなか繋がらない電話。
冷たいコール音を聞きながら、祈るように目を閉じた。
･･･でも繋がらない。
(お願い･･･繋がって･･･ヒチョル･･･)
それでも無情になり続くそれに、諦めて切ろうとした瞬間。
『もしもしっ！』
焦ったような、ヒチョルの声が聞こえた。
『もしもし？ヌナッ？･･･ヌナ？･･･どうした？』
『ヒチョル･･･？』
Aの様子がおかしい事に気付いた、彼の声色が変わった。
『ヌナ･･･？』
『･･･あ･･･あのね･･･あの･･･ソユさんが･･･』
『･･･ソユ？』
『･･･うん･･･ソユさんが･･･』
『･･･なんで･･･ヌナが、ソユの事知ってるんだ？』
『･･･病院･･･病院で･･･会ったの･･･。
あの･･･あのね･･･今･･･病院で･･･』
『ヌナ･･･落ち着いて･･･。病院で何があった･･･？』
『･･･どうしよう･･･ソユさんね･･･階段から･･･今、下で･･･私･･･どうしよう･･･』
一生懸命話そうとするが、どれも的を得なかった。
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作者名：希愛 | 作成日時：2014年6月29日 0時
