塩キャラメル、いかがでしょうか？【国見英】

十二粒目、いかがでしょうか ページ14

中学時代、私はバレーボーラーだった。


そこの中学は、それこそ強豪ではないけれど、県大会まで行く部ではあった。


ポジションは、ウィングスパイカー。ちょうど、国見君と同じポジション。


部内で一番のジャンプ力は持っていて、『次期エース』として期待もされていた。


なのに。





『駿河Aは、〇〇を傷つけた!!』


学年の廊下にある掲示板に、そんな貼り紙が貼られた。


もちろん、すぐに否定した。けれど。



「ごめ〜ん。実はさあ、録音しちゃったんだよネ。」



─────一人の男子生徒が、そういった。



流された録音は、明らかに私の声ではなかった。


まあ、コンピューターでやったのだろう。


それなのに、みんなは信じた。『駿河Aは汚いヤツだ』と。


バレー部の、同級生さえも。


先輩だけは信じてくれたけれど。まあ、意味なんてなかった。




そうなった先に待っているのは、部内での嫌がらせ。


ロッカーには提出プリントと、『やっといてね‼』というメモ。


Tシャツは、裾だけご丁寧に切られていた。



そして、私がバレーを辞めた、原因。





「ねえ、こっから飛び下りて？」



冷たく、けれど期待する目で、アイツは言った。



そして、私は、逆らうことなく。



体育館の、ギャラリー席から、飛び下りた。

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