この奇跡に、感謝 ［ 紫 ］− 1 −

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「あ、そういえばさ、」


清瀬「ん？」


「この前の人いるじゃん。」


清瀬「うん。なんか進展あった？」


「いや、そうじゃなくて。
昨日、体調不良だって言うから家に行ったんだよね。」


清瀬「まじ？」


「うん。で、ご飯作って帰ってきた。」


清瀬「うわ、まじで？」


「うん。」


清瀬「どしたA！何があった！」


「さぁ？」


清瀬「私の知ってるAならそんな事しないよ？」


「ねっ。私もそう思う。驚きだよね。」


清瀬「うわぁー。え、好きなの？」


「いや、そういう訳じゃないんだけどね。
何となく。興味本位で。」


清瀬「マジか。Aがねぇー。ビビるわ。」


「ふふっ。ほんとよ。笑」



ビビるよね。自分でもびっくりしてる。


なんで行っちゃったんだろ。


別に行かなくても良かったのに。



清瀬「えーAの手料理食べちゃったわけでしょ？」


「まぁね。」


清瀬「で、次下心見せてきたら、
ガチのクズ男だから覚悟しときなよ？」


「そんな人じゃないけどね。笑」



だって、もう次やること決まってんじゃん！
ご飯一緒に行ったんでしょ？
で、ご飯作って食べさせたんでしょ？
そしたら次はAが食われる番じゃん！

とこれまた熱くなる清瀬。



そういう人じゃないよ？


多分そういうことの出来ない人だよ。


何かあったらと憶測して
行動に移せないような職業であって、人だよ。



だからなのかもしれない。


この人は何も進展しないと分かっているから、
家に足を運べたのかもしれない。



清瀬の願い叶って定時で帰れた私たち。



家のことをして、清瀬が言っていた音楽番組を見た。



誰これ？


私の知ってる深澤さんじゃないみたい。


でもこれが深澤辰哉。



たくさんの人から愛されるアイドルだ。




私は、なんて人を………………

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