057 大我side ページ7
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そして、数日後…芳雄さんからご飯の誘いがあって、
行きますと返事をした。
でも、
この前のミュージカルの打ち上げ兼飲み会らしく
自分たちが呼びたい人を好きに呼んで
飲もうという場だった。
行きますと返事をしたけど、
俺が行っていい場所なのか…
少し躊躇ったけど……
行きますと言った建前顔を出さないと。
Aさんはメンバーを連れてくるのかな?
なんて考えながら、
芳雄さんに教えられた店に時間通りに向かった。
そこは貸し切りらしく、人で埋め尽くされていた。
挨拶するために芳雄さんの元へ行くと、
隣に借りてきた猫のように
ちょこんと座っているAさんも居た。
自分も出たミュージカルの打ち上げ込みの
飲み会なんだから堂々としてたらいいのに。
でもAさんらしくて可愛く感じる。
芳雄さん!と声をかけたのに、
本人よりも隣のAさんがいち早く気付いて
芳雄さんに俺の事を教えてくれた。
井上「おぉ!来てくれた。ありがとうございます。」
大我「お疲れ様でした。」
芳雄さんと話し始めると、
静かに隣から去っていったAさん。
トイレにでも行ったのかななんて気にもとめてなかった。
ミュージカルを見た感想をこれでもかと熱く語って、
ふと気付いた。
Aさんが戻ってきていない。
どこにいるんだろうと辺りを見回すと、
店の隅で男2人に話しかけられ
困ってるAさんを見つけた。
大我「あ、ちょっとトイレ行ってきます。」
井上「うん。」
芳雄さんにペコっと頭を下げて、
Aさんのところへ向かうと、俺に気付いてくれた。
「あ……で、では。」
ペコッと男2人にお辞儀をして
俺に近づいてくるAさんは
明らかに顔が強ばっていた。
大我「大丈夫?」
「はい。」
大我「今の、共演した人?」
「あ、いえ。全然知らない方です。」
大我「ふーん。芳雄さんのところ戻ろ?」
「あ、待って。」
大我「えっ?」
1歩歩くと服の裾を掴まれ、足を止めた。
「あっ!すみません。
ど、どうぞ井上さんのところ行ってください。
私このまま帰るんで。」
パッと手を離してアワアワしだすAさん。
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作者名:popo | 作成日時:2023年1月19日 19時