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(続きです)
二歳離れた姉は、志沙が中学三年生の時点で既に雄舞高等学校に進学していた。姉は、自信の武力と優れた頭脳に自信を持ち、正々堂々とした男にも劣らない強い人だった。志沙はすっかり楽しく高校生活を過ごしているのだと思っていたが、実は姉は思うように結果が出ず劣等生となっていた。
劣等生としていじめを受けていた姉はいつの間にか自信を無くし、かつての姉ではなくなっていた。志沙は深く失望した。「あぁ、なんて可哀想な姉なんだ!」そう思った。
姉が長期休みで家に帰省し、二人で夕飯の買い出しに出掛けた時である。優等生とバッタリ鉢合わせ、姉が連れていかれてしまった。姉は「大丈夫、友達」と言っていたので、志沙はそれを信じ黙って待ったが、あまりにも遅いため疑問を感じ姉の元へ向かった。
そこで見たのは、本当なら容易に倒せるだろうに、抵抗せず地に倒れ蹴られる姉。志沙はどんな喧嘩を売られた時よりも怒りに駆られた。いやこれは喧嘩を売っているのだ。なら買ってやる。そう思う他なかった。
その場所が家間近だっただけに、帰りが遅い二人を心配した母が探しに来ており、バッタリその場に居合わせてしまったのだという。
そこには、優等生に対し買い出しの際に購入した新品のハサミを振り上げる志沙の姿があった。間一髪、母が止めた事でそれが降り下ろされる事は無かったが、強い強い怒りに駆られていた志沙があのままハサミを刺していれば、彼は優等生を殺していただろう。
その後、一度志沙は父と母の話を聞いてしまった。母は涙ながらに言った。「あの時の志沙、人殺しの目をしてたの」志沙は母にそう言われたことに酷く傷付いた。
志沙はその後喧嘩はキッパリ止め、母が「人殺しの目」と表した目は前髪で隠し、人殺しを思わせない人懐こい笑顔を心がけた。そして雄舞高等学校への受験を決めた。三年生である姉を守るために。
見事雄舞高等学校へ入学を果たした志沙は、姉を守るため姉をいじめている優等生達を見張った。早速姉はいじめられ、当然志沙は止めに入った。そしてそこで優等生がハサミを手にし、姉の髪の毛を乱雑に切っていた事に気が付く。そして、自分があの日から極端に刃物を怖がるようになっていたことも気が付いた。
姉を見ると、今まで見たことない諦めた表情で「もういいよ」と言った。守れなかった。その悔しさと、守りたいものを守ることが出来る優位にいる優等生に劣等感と殺意を抱いた。
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菜の葉(プロフ) - くろせさん» ありがとうございます! いえいえ、こちらの説明不足でした…。では、関係組みや派生作品作りにお進みください! (2019年8月2日 17時) (レス) id: 8971b2ec5c (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - 菜の葉さん» はい! 構わないです! 理解不足ですみません… (2019年8月2日 17時) (レス) id: 62819c8559 (このIDを非表示/違反報告)
菜の葉(プロフ) - もしよろしければ、その集落は“神樹の若木を移植するプロジェクト”によって植えられた『神樹の若木』の周囲にあるものとしていただきたいです。そっちの方が自然だと思うのですが、いかがでしょうか? (2019年8月2日 17時) (レス) id: 8971b2ec5c (このIDを非表示/違反報告)
菜の葉(プロフ) - 確認しました。一つだけいいでしょうか? 悩くんが昔住んでいた集落は神樹の魔力浄化範囲内にあると思われますが、それだとアグノマギアに所属していないことに違和感を覚えてしまって…。(続きます) (2019年8月2日 17時) (レス) id: 8971b2ec5c (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - 狐狼さん» はい、構いません (2019年7月31日 21時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
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