一人の少女 ページ3
博雅「というわけなのだよ、晴明…。」
微笑を浮かべながら話を聞いていた安倍晴明に博雅は言った。
晴明「その刀というのが御前の持ってきたこの刀というわけなのだな。」
博雅「そうだ。しかしこの刀、今にも折れそうではないか。早く直してやらねば…。」
何か言いたそうにする博雅に向かって「まぁ、そう急かすな。」と言った晴明は猪口を置くと
両手で刀を持ち、自身の前に置いた。
そして式神の持ってきた紙と筆を持つと、何やらサラサラと書いた。
その出来上がった紙を血のように紅い唇に寄せて呪を唱え、紙を刀の上に置いた。
すると、
ーーースゥッ…。ーーー
紙は刀に溶け込むように消え、刀は光を放った。
光が弱まっていくにつれ、そこに誰かがいるのがわかってくる。
博雅「……女童?」
そこにはこの世のものかと疑うくらいに美しい少女が横たわっていた。
切り傷だらけで服には血が滲み、
肩で苦しそうに息をしていた。時折、傷が痛むのか微かに「うっ」と呻き声をあげていた。
博雅「だ、だ、大丈夫…なのか?」
晴明「いや。もう少し遅ければ折れていた所だったろう。」
晴明は軽く少女の額に手を触れた。
少女から苦しそうな表情が消えてゆく。
それと同時に傷も塞がり、服の血も消え、スゥスゥと寝息をたてはじめた。
そこへ式神らしき女があらわれ、少女を布団に横たわらせた。
晴明「これでいい。この女童が目を覚ますまで笛を吹いてはくれぬか、博雅。」
博雅「お、おう。」
博雅は何が起こったのか分からず、困惑しながら笛を口に当てたのだった。
ーーーーー
Aside
朦朧とする意識の中で美しい笛の音がした。
誰が吹いているのだろう。
薄っすらと目を開ける。
A「……こ、此処は……?」
晴明「気がついたか。此処は土御門大路にある俺の屋敷さ。」
白狐のように色の白い、男の人が微笑みを浮かべながら言った。
A「土御門大路となれば……安倍晴明様ですか?そしてお隣にいるのが源博雅様でしょうか?」
晴明「そうだよ。だが何故わかった?」
気がつけば口走っていた言葉だから何故、と聞かれてもわからない。
A「……何故でしょう。……申し遅れました、私は童子切A、刀の付喪神でございます。私を助けていただいたこと、心より礼を申し上げます。」
曖昧にそう言って私は手をついて頭を下げた。
33人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
椿(プロフ) - ろくがつさん» コメントありがとうございます!!私も陰陽師大好きです(≧∀≦)更新、頑張ります! (2019年3月24日 0時) (レス) id: 3f1767c2e3 (このIDを非表示/違反報告)
ろくがつ(プロフ) - 陰陽師!私の大好きな本です!これからも更新楽しみにしてます! (2019年3月23日 22時) (レス) id: 803b40573c (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - もコもコさん» リクエスト承りました!! (2019年3月20日 10時) (レス) id: 3f1767c2e3 (このIDを非表示/違反報告)
もコもコ(プロフ) - 三日月さんお願いします!! (2019年3月20日 8時) (レス) id: cf4a1ad378 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - キャラ大将さん» もちろん、おkです!!! (2019年3月20日 0時) (レス) id: 3f1767c2e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ