【終わりのセラフ】第4章.柊暮人が愛しているのは吸血鬼になってしまった女

血.112Ｌ ページ9

【貴方side】





どこを見渡しても







白







白







白







ここの白さはやはり慣れない






いつもならすぐに鬼神が話しかけてくるが今日はなにか、違う




『…鬼神？』





鬼神「…」



どうしたのだろうか、鬼神との距離を縮める




鬼神「あれ、A…」




今私に気づいたようである





『どうかした？』




鬼神「Aに貼られてた呪符のおかげでだいぶ力が弱まってるみたい」





綺麗な空色の髪を揺らし話す






やれやれ、とお手上げように手をあげる鬼神




『…そう、ごめんなさい』





鬼神「なぜAが謝る？」





『私が悪いから。優くんやシノアたちを逃がしたから、罰を受けて』






鬼神「別にAのいいと思った方をやればいい。僕は何も言わないさ。生まれた時からずっとそうしてきたじゃないか」





そうだった、鬼神はずっとそうだった



私が生まれた時から。




私は鬼神と大人になってから契約したのではない





真昼とシノアと同じ






生まれた時から鬼神はいた



十条の人達は鬼を持って生まれた私を柊に差し出したのだ



姉の美十お姉様は鬼を持って生まれなかった




そのため、必然的に美十お姉様が次期当主となった






鬼を持って生まれた私は柊の独房にいたのだ

血.113Ｌ→←血.111Ｌ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す