【終わりのセラフ】第4章.柊暮人が愛しているのは吸血鬼になってしまった女

血.139Ｌ ページ43

【貴方side】


暮人が片腕がなくなった状態で天利を貫く



ビルの壁に貫かれた彼はもはや下半身はなく上半身のみでいた


確実に仕留めた




次の瞬間、壁から得体の知れない者がでてくる


天使の羽を思わせる無数の羽に囲まれてめがみか、あるいは天使のような姿をしている


伏せていた目を開き、暮人になにかを話しかける


だが今の暮人にはあのような者を相手するには分が悪すぎる


『…くそっ』


終わりのセラフの発射命令する指揮官のいるビルへと飛び移り、現状確認をする



打とうとする指揮官を葵が暮人がいるから、と止めに入っているところだった



これ以上はもうだめだ

そう判断し、暮人のもとへと飛ぶ


『はなせええええ！』


両肩を掴まれ、抵抗出来ずに呻いてる暮人


「四鎌童子。一最初の吸血鬼だ」


四鎌童子…？


名を名乗った途端、暮人の中に入り込むかのように消えていく四鎌童子


その反動か、意識を失って急降下していく暮人


暮人の腕を掴み抱きしめる


『暮人…！』


抱きしめたまま、一緒に着地しようとした時


暮人が目を覚ました


暮人「…んっ」


『…っ！暮人！！』

目に涙を貯めて暮人を見つめる


そんな私の涙を拭い、笑いかける

暮人「A」


刀をビルに突きつけ、速度を緩めていく

ピタッ…と止まり安堵する


暮人「A、怪我はないか？」


心配そうに顔を覗き込んでくる


『私なら無傷よ。暮人、早く腕を治さなくちゃ』


焦る私とは裏腹に暮人は落ち着き払っている


暮人「そうか無事ならよかった。取り憑かれたのか？俺は」


あまり異変のない暮人


ただ見守ることしか出来ず


暮人「…おい四鎌童子。俺に取り憑いてなにをするつもりだ？」


なにも反応がないのだろう。険しい表情の暮人


暮人「…少し雷鳴鬼と話してくる。あとは任せた」


そういい、触れるだけのキスをして目を閉じる


暮人を無事下ろさせる


葵「大変申し訳ありませんでした」


私に深々と頭を下げる葵


『今はそれより治療よ。誰も貴方の事は責めないわ』


『私は医師を呼んでくるから暮人を見ててちょうだい』


かしこまりました、と涙をこらえて返事をする葵


上司が自分のせいで深手を負ったのだ。


本来ならば首が飛ぶがきっと暮人は飛ばさないのだろう。


医師に暮人のいる所を教えすぐに向かってもらう


暮人を葵に任せて私は現場処理へと向かった



暮人のそばを離れたのを悔やんだのは後にも先にもこの時だけだった

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