Anti［Second］-HSJ-

Epilogue ページ13

SIDE＿Keito


涼「ご飯できたよ〜。」


山ちゃんの一声で、一気に騒がしくなる家の中。

準備を手伝ってくれる侑李と裕翔。
手伝わずに自分の席に直行な慧ちゃん。
何故か転んだ大ちゃんを見て大爆笑してる雄也。
それをにこにこして眺めてる光くんを、にこにこして眺めてる宏太。

それと、赤いエプロンを着て出来たての晩御飯を持ってキッチンから出てきた山ちゃん。
左目の焦点がもう合うことはなくても、確かに幸せそうで。


涼「俺の顔に何かついてる？」
圭「ううん、幸せそうだなぁって。」
涼「何、今更w
　 …圭人達のおかげで、めちゃめちゃ幸せだよ。」


そう微笑み、「ヤマお嫁さんみたい！」とか騒ぎながらやってきた裕翔に持っていた鍋を預ける。
ほんとにお嫁さんみたいw

山田涼介が家に来てから、大して変わったことはない。
こんな平和な日常を過ごす、なんて贅沢なことが日課。

非難もされるし、変な目で見られたりもするけど、ちゃんと幸せだから気にならない。
きっと、この家に住んでる9人は皆そうだ。


侑「僕涼介の隣っ。」
裕「じゃあ俺がヤマの左隣っ。」
大「侑李お前、そこ俺の席なんだけど！！」
雄「裕翔に席取られたんだけど！！！！」
光「子供かお前ら。喚くな座れ！！」
慧「山田の目の前は貰ってるから。」
宏「お前はいつも通りだろw」

圭「…山ちゃんモテモテじゃん。」
涼「大ちゃんの隣は煩いし、ずっとあのままでいいんだけどなw」
圭「雄也も煩いもんねw」


皆でテーブルを囲んで、いただきますって手を合わせて。
皆で同じご飯を食べて、ふざけあって。


この上なく幸せな食卓に、電話の着信音が響いた。


圭「もしもし〜？」
『高木さんですか…？
　殺処分施設の深澤です！！』
圭「あ、深澤さん。」


電話の向こうの声の主は、慧ちゃんを引き取りに行った時、慧ちゃんの為に泣いてくれたあの職員さんだった。
また何かあれば、って連絡先を渡したんだっけ。

電話の内容が気になったのか、俺の周りには、いつの間にか8人が集まっていて。
次に紡がれた言葉を聞いた途端、皆が同じ目をした。


深『実は、ウチの施設の前にボロボロになった獣人が捨てられてて……
　 まだ息はあります！なので、手伝ってくれませんか…？』


僕も、獣人を助けたいんです。


その言葉を聞き終わるよりも早く、皆が準備を始める。
……そうだね。






死ぬまで、皆でこの世界に抗ってやろう。






END.

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