＾ｒａ＾運営中心BL短編集

明日も月は輝くでしょう＿rd×cn ページ4

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爛々と残酷に辺りを照らしゆく月を見上げる。明るさは太陽には劣るものの、見やすさ、美しさは月には勝っているだろう。キィンと、あまりに静かだと聞こえる音が鼓膜を揺らす。

べったりとアクリル絵の具を塗りたくったような空と対照的に、月と星がきらびやかに白く、美しく、残酷に輝いている。
普段は真っ赤に見える鳥居も、今やすっかり闇の一部と化している。

明日も、きっと月は明るいんだろう。雲が光を遮ろうとも。そんな明るく美しい月も、手は届くことがない。

彼も、同じように。
遠い寂しさは今や近くに。近い愛は今や遠くに。


「……明日もきっと月は明るいよ。らっだぁ」


月の名と今は居ない彼の名を口にして手を伸ばしても、どちらとも掴むことはおろか、触ることすらできやしなかった。

届かない手と言葉。返ってこない手と言葉。
すっと空を切ったままの手を見つめる。それを滑稽だと嘲笑うかのように輝く星々が、今はとても憎らしかった。

今日も手は届かなかった。明日も、きっと届かないのだろう。
残酷に輝く月にも、今は亡き愛しの彼にも。


「いつもみたいに、名前くらい呼んでくれたって＿＿」


途中で切った、届かぬ言葉。


＿＿コンちゃん。


言葉も手も届かないのは、片方だけではなかったとも知らず。

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