君との幸せな逃避行_cn×ru ページ16
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お見合い。周囲の人によって設けられる男女の出会いの場と言えば聞こえはいいが、実際は親が決めた相手と半強制的に婚約させられる場だ。付き合っていても婚約してなければ関係なく行われる。それは突然で、友達がある日突然することもある。
そう、例えば。
「俺、明日お見合いに行くことになったんだ」
目の前の赤髪の彼なんかがそうだ。
彼に抱いた恋愛感情なんて、とうの昔に捨てていたと思い込んでいた。お見合いが決まったという彼の発言に、どうしても胸が痛くなる。どうしても行かないでほしくなってしまう。
だって、彼も悲しそうな顔をしている。だから、俺はいつも通りの笑顔を浮かべる。
「へぇ、相手は嫌な人? 悲しそうな顔してるけど」
そう笑っても、れうさんは一言も答えない。何故だ、質問を間違えたか?動揺を隠しきれていなかったのか?思わず溢れでそうな気持ちを頑張って押さえ込んで、ぐるぐると脳で必死に考える。
思考を止めるな。考えろ。脳を回せ。俺が動揺して好きなことが伝われば、彼はきっと驚いて何もできなくなる。困惑させてしまう。追い詰めてしまう。
「うーん、それとも他に好きな人が居るの?」
そう言うと、れうさんは分かりやすく驚いていた。胸の痛みがもっと強くなる。俺は、れうさんとれうさんの好きな人の手助け人、第三者になってしまうのかなって。
そう考えてしまう思考を止めたくて。でも今止めたらきっと思いをぶちまけてしまうから、脳は回したまま。
「……コンちゃん。__好きだよ」
その声に、歯車が止まるように思考がぴたりと止まった。
「……へ?」
思わず出た気の抜けた声に、彼は一つひとつ、分かりやすく順を追って説明してくれた。
俺のことがずっと好きだった。お見合いが決まってしまった今、いっそ思いを告げてしまおうと。
今までの関係で居られなくなるのは分かってる、そっちが困るのも分かってる。それでも、伝えたかったと言ってくれた。
彼の綺麗な瞳から、宝石のような涙が美しく零れ落ちる。
さっきまで動いていた思考が止まってしまったため、深く考えることができず、どうにでもなれと俺は彼を抱き締めた。
「れうさん、俺も好き。大好き」
両想いだと、今までのことを伝える。
すると、彼は嬉しそうに泣いた。
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ノア(他にいい名前が無かった)(プロフ) - mdrd見てみたいです! (2020年6月17日 19時) (レス) id: d1ff9fd6ac (このIDを非表示/違反報告)
モイチ(プロフ) - お話の書き方すごく好きです。フラグは多分「殺 す」が入っているからだと思います。漢字と平仮名の間に空白入れると引っかからないと思います (2020年2月4日 23時) (レス) id: 9441daae19 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜白猫(プロフ) - リクエストって受け付けてます?もし受け付けてたらoirdとkbrd(こばさん)お願いします(ほんとに出来たらでいいです) (2020年1月22日 14時) (レス) id: bbea5cc7f2 (このIDを非表示/違反報告)
momo消しゴム - 面白いですね!もはや始まりの部分から読むのが止まらなくなりました!更新頑張ってください! (2020年1月19日 19時) (レス) id: b2b1475c20 (このIDを非表示/違反報告)
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