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・「まず、しかばねちゃんは死んでますㅤわかる？」
教師が教えるみたいに人差し指をたてた鬱サンが話し始める。初っ端から信じ難い話だが、わたしがなにも知らないという時点でお察しだ。
頷けば、鬱サンは次に中指もたてる。ピースの形だ。ふたつめ、という意味なのだろうが、どうにもわたしに向けてピースをしているように見えて仕方がない。
「死因は銃殺で、死体はまだ見つかってない」
「ほんとに？」
「犯人も上手いところに隠したよね」
感心するように頷く。いや、当事者のわたしに言われても。
ひとしきり頷いた鬱サンは最後に、と袋を漁る。そういえばそんなのも持ってきていたな。ガサゴソと長らく漁ったあとに袋から出てきたそれは紛れもなくチョーカーで、もしかして鬱サンにはそんな趣味があるのかと構える。さっきまでヘドロみたいな話してたのに、いったいどういう方向性の転換だ。
「でも、魂だけは取り出せたからさ。二度目を迎えないようにコレつけてもらってもいい？」
つまるところ、わたしの体はもうダメだが魂は唯一生き延びているということか。なんで逝かせてくれなかったのかと戸惑うも、行き先は天国じゃなくて地獄確定だと思うから現世に留まれてよかったのかな。
鬱サンからチョーカーを受け取って首につけてみる。ちょっと違和感があるけど、気にするほどでもないから別にいいのではないか。
「えっと、ありがと？」
いったいチョーカーのプレゼントはありがたいものなのか。貰い物だからいちおう感謝の言葉は述べたけど、考えてみなくてもわたしはペットじゃないからきっと要らないだろう。
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作者名：眼窩 | 作成日時：2022年9月4日 5時
