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光「俺、ずっと考えてたんです」
しばらく沈黙が続いてから、光くんがそう切り出した。
光「自分のモヤモヤしたこの気持ちはなんなのか。Aさんが誰かと、明日人くんや野坂さんと話しているのを見ていたら、そのモヤモヤした気持ちが出てきて...」
『うん』
言葉が見つからないのか、ところどころ詰まりながら話す。
私はそんな彼を見守る。
光「でもやっと、わかったんです」
そう言うと、彼は凛とした瞳で私を見つめて言った。
光「俺は、Aさんのことが好きだ、って」
『...』
光「先輩とか後輩とか、そんな関係での好きじゃなくて。恋愛的な意味で、貴方のことが好きなんです」
光くんはこちらに手を伸ばし、私の頬に触れる。
光「だから今、Aさんが俺のことを好きだって言ってくれて、すごく嬉しかった」
柔らかく微笑む彼を、私は見つめる。
光「A」
『なに？』
光「この館から出たら、無事に出ることが出来たら...俺と付き合ってくれますか？」
少し躊躇いながらも、彼は私を真っ直ぐ見つめて言った。
たぶん、すごく勇気がいることだと思う。
だったら私も、その言葉に応えなくちゃならない。
曖昧に終わらせないように。
『はい、私でよかったら』
私はそう言って、彼を見つめ返す。
彼の気持ちに応えたい。
光「ありがとう、A」
彼は嬉しそうに微笑んだ。
今まで見てきた笑顔の中でも、今の彼の笑顔は見たこともないくらいに嬉しそうだった。
彼の笑顔を見て、私も嬉しくなる。
だから、自然と笑顔になることができた。
だけど、いつまでも余韻に浸ってはいられない。
少しでも早く、この館から出なければならないのだから。
光「さっきの青鬼は、なんとか撒くことが出来ました」
『うん。ホントになにもなくてよかったよ』
私の言葉に、光くんは少し笑う。
光「かなり焦りましたよ。青鬼二体迫ってくるのは、正直俺でも恐かったです」
恐かったにも関わらず、彼は私を守ろうとしてくれたんだ。
私は思わず口元をほころばせた。
『ごめんね。私、光くんに守ってもらってばかりで』
そう言うと、彼は首を横に振った。
光「そんなことないです。それに、俺だってAさんに守ってもらえてますよ。十分すぎるくらいにね」
『え？』
私はきょとんとする。
彼はクスリと笑うと、私の手を握った。
光「行きましょう。野坂さんたちと速く合流しなきゃですから」
『うん、行こっか』
私たちは手を繋いで、歩き出した。
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