66 ページ19
『な、なに？』
私が彼に尋ねたと同時に、さっき自分たちが入ってきたドアから、青鬼が顔を覗かせた。
しかも、ただの青鬼じゃない。
円堂さんの姿を真似た、青鬼だった。
光「逃げますよ！Aさん！」
すぐに光くんが私の腕を掴み、そう言って促した。
青鬼に背を向けて、無我夢中で廊下を走る。
だが、
『ひ、光くん！前！』
「！！」
私たちは、思わず足を止めた。
信じられないことに、前方からも青鬼が迫ってきていたのだ。
しかも、ヒロトくんの姿を真似た青鬼だった。
前方からも後方からも、それぞれの青鬼が私たちに迫ってくる。
『ど、どうしよう！？』
光「Aさん、こっち！」
私が焦って戸惑いの声を上げると、光くんが私の腕を掴んで走りだした。
光「青鬼から免れるためには、この道しかないです！」
彼が指さした先には、横の方に、別の道へ続く廊下があった。
その先に見えるドアに向かって、私たちは離れないように手を繋いで走る。
そして、慌ててドアを開けて部屋に入った。
だけど、これで安心している場合ではない。
一刻も早く隠れなければ、すぐに青鬼に見つかってしまう。
『光くん！あそこにタンスがあるよ！』
辺りを見回していた光くんに声をかけると、彼は私をタンスの中に入るよう促した。
だけど、
『う、嘘でしょ...』
私は思わず声を上げた。
タンスの中が、いろいろな物でぐちゃぐちゃだったのだ。
そのため、一人ぶんが入れるぐらいのスペースしか空いていなかった。
『光くん、どうするの...？』
光「...」
このままだと、青鬼に捕まってしまう。
私がどうするかを考えていた、その時だ。
光「Aさん」
『なに？』
突然、彼が私を呼んだ。
そして、
光「Aさんは、タンスの中に居てください」
そう言って、私をタンスの中に入らせた。
『ひ、光くんはどうするの！？』
私は思わず言った。
この部屋には、このタンス以外隠れる場所がない。
青鬼から逃げるための、他の手段がないのだ。
光「俺は、ここから青鬼を遠ざけます。Aさんは、俺が戻ってくるまでここに居てください」
『ま、待って！』
タンスの扉を閉めようとする彼の手を、私は掴んだ。
『いかないで、お願い...。一人にしないで...！』
そう言った私を見て、彼は少し悲しそうに笑った。
光「俺は必ずここに戻ってきます。一人にするわけないじゃないですか」
彼は私の頭に手を乗せて、軽く撫でた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水無月梅雨(プロフ) - 風丸さんと円堂さんが死んで、その次は推しのヒロトくん！号泣しました。一星くんと両想い、おめでとう (2020年8月17日 14時) (
レス) id: 94c4844f93 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 良かった…ちゃんと、かえって来てくれた！ (2020年6月19日 19時) (レス) id: c80579e6b6 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶之夢 - 風丸と円堂、ヒロトで大打撃なのに次は誰が死んじゃうのよ!更新頑張ってください！ (2020年6月15日 21時) (レス) id: c7cfce80ec (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 光くん、ずっと守っていてくれてかっこいい！最後光くんが部屋から出ていっちゃったけど、どうなったんだろう。更新頑張って下さい(^o^)/ (2020年6月6日 18時) (レス) id: c80579e6b6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみやン(プロフ) - 光くんむっちゃほんとにかっこよすぎる………Yニャンさんのお話ほんとに大好きです……！更新頑張ってください( *´艸｀)応援しています！ (2020年6月4日 12時) (レス) id: cef1a7a657 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
