君が為、鬼籍に入る３【呪術廻戦】 (ページ6)

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99. 彼女の本音ページ6

『"睦月を生かす為"とはいえ、私は｢人｣によって｢モノ｣として9年間扱われた。"契約"なんて名ばかりだ…、連中にいいように使われて、今回だって―…』

｢本音に、素直になっても、いいんだよ｣

『そうなれば私は君達を―…、奴の言いなりにさせてしまう。そんな事絶対にさせたくない』

｢……｣

Aにとって、呪霊や怨霊達は、地下牢生活からずっと共に過ごしてきた、"家族"のようなものだ。本音を優先にすれば、Aは自らの意志で｢呪い｣となり、呪詛師によって束縛と服従を強制される。そうなってしまえば、奴の悲願を叶えることになってしまう。それは―…Aの本音ではない。

『本音は―…最期の時に取っておく。まだ｢人｣の世に出すわけにはいかない』

その言葉を聞き、怨霊達は静かに受け入れると、各地へと散り散りに飛んでいった。

『…本音に、素直…ね』

実のところ、A自身｢本音｣というものが何なのか、わかっていない。自分自身の｢心｣と向き合う余裕すら、彼女にはなかった。だから怨霊達に問われても、うまく言葉に表すことが出来ず、現実だけを突きつけた。
アハハ…、とAから乾いた笑いが出て、軽く頭に手を添える。各地では既に呪霊や怨霊達が、本格的に暴れ出しており、一部では建物などが破壊されていく様子が遠くからでも明らかで、部分的に煙が上がっていた。

Aも参戦しようと、その場から立ち上がる。その時―…

｢A！！｣

『？』

帳の外から声をかけられ、振り返るとそこには―…

『…弥生…と、七海君？』

なぜそこにいるのか、と問いかける間もなく、二階堂は声を張り上げる。

｢必ず、俺達の所に戻って来いよ！｣

『？』

Aはただただ驚き首を傾げている。この状況下で、｢生きて帰ってこい｣という言葉はよく耳にするが、彼はそうは言っていなくて…。

｢Aは、こっちにいたっていいんだから｣

『…私はまだ、｢人｣の世にいていいの？』

｢当たり前だろ！！｣

こうやってまた睦月とも会えたんだから、こっからはAを｢人｣の世に留まらせるために、俺達は全力でサポートしていくよ。と二階堂は笑って言う。