君が為、鬼籍に入る３【呪術廻戦】 (ページ46)

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139. "本音"を優先にした選択ページ46

〈…睦月は1人なんかじゃない…、五条君も夏油君、家入さん…、それに後輩達も先生もいる。―…その人達と…、この先も…、その繋がりを…大切に、して―…〉

〈私だって―…〉

〈お姉ちゃん、大好きだよ。これからもずっと〉

そう言って映像越しに映し出されている、椅子に拘束された誰かが、自分達に笑いかけていた。
そして―…
銃声が鳴り響き、その人物から鮮血が走る。その人の顔が真っ赤な血に染まる。そのまま重力に従って、椅子ごと地面に倒れこんだ。

それが誰なのか分からない。明らかに実際に見たはずの記憶であるにもかかわらず、靄がかかっていた。

『…これ以上、睦月の手を穢させないから』

そう言っておもむろに、刃が折れたナイフを取り出す。呪力を纏わせ、鋭利なものへと変形させる。

『…ありがとう、睦月。ようやく私達にかけられた呪(まじな)いが解かれた。だから―…、私は"本音"を優先にするね』

その言葉とほぼ同時に、Aは―…自らの手で頭にナイフを突き刺した。

｢｢！！｣｣

あまりに突然の行為に、五条達は唖然としている。それだけでなく、Aの周囲に黒い｢何か｣が漂い、それらは彼女の身体を覆っていく。それに伴い、Aの肉体が塵と成す。
目の前の光景に五条達は何も言葉を発することなく。だがそれぞれに、身に覚えのない記憶が蘇る。
そして瞬間的に、七海は目の前で塵と成す、アキの正体が―…かけがえのない相手であることに気付く。

｢…A、さん…？｣

右半身の大半が塵となっていく中、七海は目の前で起きている光景に受け入れがたいのか、首を横に振った。