君が為、鬼籍に入る３【呪術廻戦】 (ページ45)

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138. 強い"殺意"と陽動ページ45

『(…それでいい。私に対して、強い"殺意"があれば…確実に《久禮田家の双子の呪い》は解かれる)』

｢…どうして！！私の家族を…、殺したの！！｣

睦月の言う"家族"とは、両親とその妹のこと。作られた記憶により、育まれたかけがえのない時間。その中で彼女は―…確かに生きていた。

『殺しに理由はないよ』

｢…！｣

『だってそうでしょう？ここに"帳"を下ろし、呪霊を放って一般人を虐殺するのも、この場に君達呪術師を集結させるため。その陽動行為に過ぎない。その際に生じた犠牲は、運が悪かっただけ』

｢…陽動！？｣

『結果、私の望んだメンバーが集結した。願ったり叶ったりだよね』

互いに呪具をぶつけ合いながら会話を続ける2人。一方で、五条達の方はと言うと、Aが召喚した怨霊に苦戦を強いられていた。

｢弥生兄さん達を襲撃したのも、貴女でしょ｣

『そうだよ。大したことなかったけどね』

｢貴女の目的は一体何なの？…今回の件だって、今朝高専に予告した上で実行した。情報を開示する呪詛師なんて…、今までいなかった｣

『…君に｢呪(まじな)い｣を解いてもらうため』

｢！！｣

『でもそれはようやく―…叶いそうだ』

そう言って笑みを見せたとほぼ同時に、Aの身体を貫く一本の刀。それは―…睦月の手に握られていた刀であり、当の本人は目を見開いている。

｢…どう、して…｣

刃を伝い彼女の手を血に染める。驚きのあまり睦月はその刀を握っていた手を離した。
そしてAはその場に膝をつく。彼女の足下には血の海が広がっていった。
術者が戦闘不能に陥ったことにより、五条と七海の相手をしていた怨霊達は動きを止め、彼らの元から離れていく。
それにより、五条達は睦月の元へと駆け寄った。

｢睦月！！｣

｢あ…、悟…っ…｣

何故か睦月は大粒の涙を流していて。そして彼女の目の前には、急所を一突きされている呪詛師･アキがいた。

｢どこか痛むのか？｣

｢…涙が、止まらなくて…っ、｢心｣がものすごく痛いの…｣

それを見てAはただ笑う。

『お姉ちゃん』

｢…！｣

『大好きだよ。これからもずっと』

｢…え…？｣

目の前にいる呪詛師が突然、睦月の事を｢お姉ちゃん｣と呼び、怪訝そうな表情を浮かべる五条達。だが突然、3人に酷い頭痛に襲われる。それと同時に脳裏に流れる誰かの声。