君が為、鬼籍に入る３【呪術廻戦】 (ページ44)

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137. 2018年4月2日_ ページ44

――2018年4月2日_

突如、呪詛師･アキ(=A)が八王子市一帯に帳を下ろし、その中に呪霊を放ち一般人の虐殺が行われる。現場は地獄絵図と化し、複数の呪術師が派遣されていた。

『…？ほう、来たか』

Aは彼らの登場を待ちわびたように、高台から人々が呪霊に喰われていく様子を見守っていた。

｢アキ…、一体何を企んでいる？｣

Aの前に現れたのは、特級呪術師の五条悟、1級呪術師の七海建人、そして―…

『さぁね？…久しぶり、睦月』

｢！！…どうして、私の名を…！｣

『どうして？面白いことを言うね…、君が私の周辺を探っていることぐらい、気づいていたよ』

準1級呪術師の久禮田睦月は、Aの言葉に目を見開いている。

『家族を殺されたことに対する敵討ちかな？』

そう言って、アキは右顔面の仮面を外すと、五条と七海の前に2体の怨霊を召喚する。

『用があるのは、久禮田睦月ただ一人。外野には―…私のとっておきが相手をするよ』

｢！！｣

｢…っ、睦月！！｣

五条と七海の行く手を阻むように立ちふさがる2体の怨霊。それも｢特級｣に匹敵する実力を兼ね備えており、五条に至っては睦月と引き裂かれたことに対する苛立ちが露になっていた。

『…さてと、君がこの2ヶ月でどれだけ成長したか…。楽しみだよ』

｢…ねぇ、どうして私の事を知ったような口ぶりなの？｣

実際の所、改変後の世界において、呪詛師･アキと睦月と直接対面したことなど一度もない。にもかかわらず、馴れ馴れしく接してくるアキに、(名前2)は違和感を覚えていた。

『知っているよ、君のこと。――最愛の姉であり、この先の未来を生きて欲しいと心から願う相手だからね』

｢――え？｣

睦月はAの言葉に目を見開くも、薙刀を召喚し構えたことにより、戦闘態勢に入ったと察する。
睦月自身も呪具を取り出し、構えるも既に気配だけで敵わない相手であることは明らかで…。
Aが一歩前に踏み出すだけで、尋常じゃない｢憎悪｣という名の呪力放出が起き、空気が一気に黒く澱んだ。

｢…っ…｣

『こんなので怯んだらダメだよ、睦月。君の両親を、最愛の妹を殺した私が憎いんじゃないの？』

過去を抉り発破をかけるように言うAに対し、睦月は感情を爆発させる。その様子にAは微かに笑みを浮かべた。