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123. 呪詛師・神無月との再会 ページ30

七海達の侵入を遮断するため、駆け出したと同時に特殊な"帳"を下ろしたA。それにより、この場には呪霊が蔓延り、更に改造人間が混じっている。


『…目障り』


Aは目の前に溢れるそれら全てを領域展開で排除した。


『…お久しぶりですね…、神無月』

「11年ぶりだねぇ、元気そうで何よりだわ」


目の前に現れたのは、目元を仮面で覆った長身の男。幾度となく双子の前に現れては、睦月を殺害したり、Aに致命傷を負わせるなど、熾烈な戦いを繰り広げてきた宿敵ともいえる相手。


『…予定通り?私があの研究所から脱獄したのは』

「そうだねぇ…、連中にAを縛ることなど不可能だと思っていたからね。だから9年もそこに居続けたAは、僕の予想外だったかな。すぐに脱獄すると思っていたからね」

『……』


神無月の言葉にAは小さく息をついた。


「どういう風の吹き回しで、そこに居続けたのかな?君にメリットなどないだろう?」

『……』

「連中が提示した"契約"に従ったのか。…結果的にそれは飾りに過ぎないというのに」

Aが研究所を脱獄したことで焦った連中は、僕に相談せず睦月を殺害した。結果、Aの逆鱗に触れ、夏油傑が放った呪霊を一掃するだけでなく、高専側にも対価を払うに至った。と、今までの過程をつらつらと語る。


『…なぜ、11年も猶予を与えた?』

「遅かれ早かれ、夏油傑が離反することも分かっていたし、乙骨憂太に憑りつく祈本里香の存在も視えていた。だったら、その騒動に便乗させてもらおうと思っただけだ」


つまりこの男は―…、ある程度の未来が視えた上で、行動していたのだと、Aは悟る。同時に相当面倒極まりない相手であると認識した。
だが一方で、Aの行動が読めていない…、となると。可能性として考えられるのは―…


『(…この男は、「人」の未来を予知できるが、「呪い」の未来は予知できない)』


それはAにとって、好都合だった。つまりこの男は―…、Aがこれから起こそうとしている計画を全く知らないということ。

124. 改造人間 vs 使役呪霊→←122. 「人」の侵入を拒絶する"帳"



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作者名:Haru yama | 作成日時:2022年2月5日 19時

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