君が為、鬼籍に入る３【呪術廻戦】 (ページ29)

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122. ｢人｣の侵入を拒絶する"帳" ページ29

《私にとって、｢人｣と｢呪い｣は同等であり、特別扱いはしない。｢人｣を殺し｢呪い｣も祓う》という言葉通りだというのは、明らかだった。
それらは全て、彼女が歩んできた経歴を物語っており、生死の価値観が非常に歪み、時にそれは異常性を醸し出す。

『補助監督の方は帳の外ですか』

｢そうですね。そちらとも合流しましょう｣

私は彼女の言葉に同意し、共に帳の外に出るとスマホを取り出し、補助監督に連絡を取った。その間、Aさんは周囲の気配を伺っているようで、黙っている。
そして小さく舌打ちをすると、私の通話が終わったのを見計らい、突然薙刀を召喚し構えた。

｢！…何か、ありましたか？｣

『…七海君は補助監督と合流してください。――…ここから先は、私1人で相手します』

｢！！…まさか、例の呪詛師ですか？｣

『…正確には、改造人間ですが』

それでも七海君が太刀打ちできる相手ではない、と言い切り、彼女はその気配がする方へと駆け出した。追いかけようにも同時に突如としてその場に、全く異なる帳が下ろされる。それも―…ただの"帳"ではない。

｢(これは―…、術師の侵入を拒絶する"帳"か？)｣

そこに連絡した補助監督が合流する。そして彼にもその目の前にある"帳"に触れてもらうが…、

バチッ

｢｢！！｣｣

呪力を持たない補助監督ですら弾かれる。
だが一方で、その"帳"が下ろされたと同時に、蔓延るように現れた呪霊たちは、難なくその"帳"の中に吸い込まれるように侵入していく。つまりこの"帳"は―…

｢…｢人｣の侵入を拒絶する"帳"？｣

となると、この"帳"を下ろしたのはAさん本人だとでもいうのか…？だが、これ以上思考を働かせたところで、こちら側が破壊する手立てがない以上、無力だ。強制的に破壊させるとなれば、彼しかいない。

｢…五条さんは東京近辺にいますよね｣

｢そうですね。確か…、今日はお休みかと｣

休みの日に呼び出すのは癪だが、流石に久禮田家の双子に関する呪詛師だと伝えれば、来てくれるだろうか。私は五条さんに連絡を入れた。