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116. 天元の結界 ページ23

「…いくら挑発してきたからと言って、これ以上やるなら僕が相手になる」

『別に彼らに敵意はないけど』

「だったらその呪力放出を抑えろ。尋常じゃないくらいに「憎悪」を感じる」

『あー…、それはたぶん。天元の結界のせいだよ』

「?…、天元様の結界?」


Aは右顔面を覆う仮面を指で叩く。すると徐々に呪力放出が収まり、1年生達をおさえつけていた力も弱まる。


『どうやら天元は私が高専敷地内にいることを、ようやく(・・・・)感知したようだね』

「…、ようやく?」

『呪力放出が起きない限り、君には勿論、天元にも私の居所を感知することは不可能だから』


そう言ってAは後ろから来た高専関係者に目を向ける。


「お前…、久禮田 Aだな!!」

『…だったら何ですか』


Aは五条達に向けたものとは全く異なり、無感情な目を宿している。


「なぜ貴様がここにいる!」

『うるさいなぁ…、君らには何ら関係ないだろう?』


そもそも、契約違反した連中に、こちらの情報を開示する必要すらなかろう、とあっけらかんとした態度で言う。


「お前は処刑対象のはずだ」

『…そうでしたね。でも凡人である君達に―…私を殺せるとでも?』


フッと笑みを見せたかと思いきや、その場に響き渡るのは「人」の断末魔。突拍子もなく、Aの話相手の足元から呪霊が現れ、容赦なく陰へと引きずり込もうとしている。


「よせ、A」

『なぜ?吹っ掛けてきたのはあちらですよ』


引き留める五条を振り切り、Aは首をかしげる。


「ここで争えば、確実に呪詛師認定される。そうなれば睦月が悲しむだけでなく、彼女を呪詛師側へと陥らせることになる」

『……』


睦月の名前を出せば、それなりに行動を抑えてくれると悟った五条は、そう言葉を口にする。すると彼の予想通り、Aは『睦月に免じて…ね』と呟き、男を解放した。


『…喧嘩を吹っ掛ける相手を間違えてますよ』

「……くっ」


苦々しい顔をするも、これ以上言い合うつもりもないためか、男はその場から立ち去った。


「Aって、現時点だとどのくらいの実力なの?」


そして五条の興味は、Aの実力について。
七海から京都であった出来事について、ある程度話は聞いており、高専時代より確実に強くなっていることは確かで。

117. 高専1年生組との関わり→←115. 「孤独」という名の呪縛



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作者名:Haru yama | 作成日時:2022年2月5日 19時

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