混血のエルフ３【指輪物語】 (ページ9)

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2-22. 名前も知らない子ページ9

皆が、それぞれ思うことがあるのだろう。誰一人として口を利こうとはしなかった。
しばしの沈黙ののち、最初に開いたのはアラゴルンだった。

｢…セオデン王、あなたがエイリアス王女に向けたのは偽りの愛ではなかったはずです。
それは、彼女自身も一番よく理解していると思います｣

｢…私は、そこを悔いているのではない｣

セオデンは剣を収め、息を深く吐いた。

｢あの者の…名を私は知らぬ。
私は…エイリアスが双子の姉妹であったことをも知らなかった…。
民を想っていても、あの者を守れなかったことが悔しくてならない…｣

｢…彼―…否、彼女はAと言います。
たとえ、あなたの娘ではなくても名前で呼んであげて下さい｣

アラゴルンはセオデンに諭すように言葉を紡ぐ。

｢あの子は愛を知らずに育ちました。
せめて―…これ以上闇へと踏み入れないよう、引き止めて下さい｣

｢……｣

セオデンはアラゴルンの言葉を受け入れるしかなかった。
今まで、A達を苦しめてきた天罰が下ったのだ…。

エオウィンも受け入れるしかないと、心に決めていた。