2-21. 赤の他人 ページ7
「…分からないのですか?セオデン王」
アラゴルンがAを庇うように、彼の前に立つ。
しかし、Aがアラゴルンの服を引っ張ってそれを制した。
『アラゴルン、分かるわけないよ。
この際ハッキリ言わせてもらう…、俺もエイリアスも―…アンタの子じゃない』
「「…え…」」
『言っとくけど、セオデン…俺はアンタより年上だし、第一、二人共エルフ族の血が流れているからな…長寿なのは当然だろ』
ごく当たり前のように、話すAにその場にいる者全員が絶句する。
目の前にいるのは―…エイリアスではない。
そして、セオデンの子供でもない。
そしてエルフ族の血が流れていると言った。
一体…何を言っているんだ?
「…A?」
騒ぎを聞きつけてやってきたレゴラスもギムリも、唖然として聞いていた。
「お前は…誰だ?」
『俺は―…16代王センゲルの弟の子供かな?』
衝撃事実に皆が言葉を失う。
目の前にいるのは―…、ローハンの血を受け継ぎ尚且つエルフの血も流れている、者。
初めから、王家は騙されていたのだ…。
初めから、二人に王位継承など出来るはずがなかった。
なぜ、誰も気づかなかったのだろうか。
「…あり得ん!お前は嘘を言っている!!」
『確かに、証明できる人間はすでに死んでいる…。
しかし、これは事実だ』
「…何?」
『さっきアンタは、この剣がエイリアスの物だって言ったよな?』
Aは再び、自分の握っている剣を前に向ける。
『…コレ、本当はセンゲルから頂いたものだ。
エイリアスはこれを死ぬまで肌身離さず持っていた』
「…エイリアスが死んだ…?」
エオウィンは目を見開き、Aの元へ駆け寄ってくる。
しかし、彼女がこれ以上近づくのを拒むように、Aは剣を向ける。
「どういう事…!!エイリアスが死んだって…、嘘言わないで!!」
『嘘じゃない。エイリアスは最期までアンタ達を欺き続けた。
それだけじゃない…、セオドレドもエイリアスが死んだことを認めていた』
「!!」
セオデンやエオウィン、王家の者達が誰一人として真相を知らない、Aの関係する事件。
それは、重臣や侍女を殺したのではなく正確には―…
『サルマンの本当の目的は、俺達双子を殺すことだった。
そうすることで完全に有能者を抹殺することが出来る』
「…!!」
ここで初めて、エイリアスとAが双子であることが判明する。
二人は腹違いの子供ではない…、血の繋がった姉妹だったのだ。
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作者名:Haru yama | 作成日時:2021年3月13日 18時