混血のエルフ３【指輪物語】 (ページ49)

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遂に出発の時がやってきた。
今あるだけの全ての戦力を用いた陽動作戦。勝つ見込みがなくとも、戦地へ赴く兵たちの歩みが止まることはない。
都を出る兵団の先頭を行くのは、総大将のアラゴルン。その後ろにエオメル、レゴラス、A、ギムリ、ガンダルフ、そして、メリーとピピンが続いた。

｢Aよ｣

ガンダルフがAへと馬を近づける。

｢…お主は最期まで戦うのじゃな？｣

『あぁ。当たり前だ、もうこの世に未練はない』

と言いかけて、ふと心に秘めていた想いを溢す。

『でも強いて願うなら、最後にフロドに会いたいな』

｢……｣

この陽動作戦はフロドのためである。彼が使命をやり遂げた時、A自身が生き残れるのか、保証はない。

｢…少なくとも、死ぬことはせんようにな｣

『もちろんだ。そんな事をしたら次期王に叱られる』

ククク…と笑うAに、ガンダルフは頷くと、先へと歩みを進めた。

玉龍はジッとAを見つめている。

『…なぁ玉龍』

そんな玉龍の首筋に手を当てて語り掛ける。

『お前は最期までオレに仕えてくれたな。この先も、ずっと一緒にどこまでも行こうな』

ポンポンと優しく撫でると、軽く嘶きを上げ、元気を取り戻す。
視線の先には、奴の姿が見えた。そんな気がした。