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｢その呪いを解くとともに、我らを解放できるのか｣
『……そうだな。この戦いが終えれば、あなた達は安らかに眠れ、オレは呪いから解き放たれる』
Aがそうはっきりと告げると、死者達は何となく肩の力を抜いているように見え、また強くこちらを見つめ直した。
｢安らかに眠れるならば…、我らは戦おう。王と共に｣
『……あぁ、感謝する』
別の形で彼らの役に立てたらしい。地上最強の軍勢を味方につけることに成功した。
ふと脳裏をよぎるのは、ミナス･ティリスへと向かったガンダルフとピピンの姿。今頃、激しい戦いに身を投じているのかもしれない。陣に置いてきたメリーもまた戦へと向かうかもしれない。
フロドとサムも、確実にモルドールの火口に近づいているはずだ。
遠くで誰かが何度もAの名前を呼ぶ声が聞こえる。そのまま次第に意識は薄れていき、瞼を閉じた。
｢…かつてエルフの女が、私達に言ったのだ。いつか我らを解き放つ者が現れると。ようやく、巡り合えたのだな｣
その死者は眠るAの額をそっと撫でた。
｢……A、ありがとう。私達を解放してくれて｣
｢A！｣
次に目を開けた時、目の前には必死な形相の仲間達の顔があった。
目が覚めた途端、彼らと目を合わせないよう布で目を覆う。
｢のみこまれた姿をこの目で見たのに…、外に出てみればAはここで眠っていた｣
レゴラスに強く抱きしめられる。
｢無事でよかった…｣
｢こんな穴倉で死ぬもんじゃねぇよ｣
アラゴルンとギムリも無事を喜んでいた。
｢けれど、一体どうして…｣
『…答えは出た』
Aの視線がアラゴルンの背後へと行く。慌てて全員が振り返れば、そこにはあの死者達が立っていた。アラゴルンを見据えるその瞳には決意が宿っていた。
｢我らは戦おう。ともに誓いを果たそうぞ｣
驚いた顔でアラゴルンがAを見る。それにAはただ頷いた。
――…
｢それじゃあ手始めに、アレやっちゃおうぜ｣
ギムリがくいっと首を動かす。その先には大河を渡る黒い船団が見えた。大船団がゴンドールについてしまえば、戦場はもっと酷いことになるだろう。
｢うまくいけば、移動手段も手に入る｣
得意げに話すギムリに、アラゴルンは肩をすくめて笑った。
｢やってやろうじゃないか｣
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作者名：Haru yama | 作成日時：2021年3月13日 18時
