混血のエルフ３【指輪物語】 (ページ40)

今日:11 hit、昨日:0 hit、合計:10,827 hit

・ページ40

｢……Aはどうしている？｣

｢…あの子は、サウロンと賭けをしたと言っていました。闇から解放されたその時、どちらが先に朽ちるかを｣

アラゴルンの言葉にエルロンド卿はただ頷き、「そうか。それも運命だろう」と言った。

｢あなたは…、それでいいのですか？｣

裂け谷において、アルウェンと同様の愛を注いできたに違いない。それなのに、Aの｢運命｣を受け入れられるというのだろうか。

｢……旅に出るとき、Aは私に言った｣

｢？｣

｢申し訳ない…と。定められた運命の通りに歩むことを許してくれ、そしてその道を否定せず受け入れてくれたことに対する、感謝を述べた｣

｢……｣

エルロンド卿は今はこの場にはいない彼の姿を想いそういった。アラゴルンはそれ以上、エルロンド卿に問いかけることはできなかった。
彼の悲痛な表情に、理解を示したからだ。

そしてエルロンド卿は去っていった。

『……』

その2人の会話を物陰で耳を澄ませていたA。

『最後まであなたは優しすぎる御方だ…』

そしてそっとテントを後にした。