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3-10. 一方その頃 ページ37

フロドとサムはゴラムに導かれ、階段を上り続けていた。
断崖絶壁というだけでも危険なのに、強風がホビットの小さな体を軽々と吹き飛ばしてしまいそうなほど吹き荒れる。


「っうわぁっ!ふ、フロドさまぁ〜!だいじょうぶですかぁっ!?」

「サムッ!そんな事言ってる場合じゃ……ッと」


2人とも冷や冷やしながら登っていく。
階段とはいっても大半が崩れ落ちており、岩肌に張り付いたようなものであるため、崖をよじ登っているのとそう変わらなかった。


「フロド様。ここなら少し…、休めそうです…」


息も切れ気味にほっと息を吐くサムの言う通り、数人が普通に座れるスペースがあった。


「フロド様、少し休んでください」

「あぁ…そうしよう。まだ先は長いみたいだしな…」


囃し立てるゴラムを何とか落ち着かせ、2人は横になった。








「ふたりともねちゃったよう?」

〈あぁ〜よく寝てるなぁ〜〉

「……あれ?だれ?」

〈あ〜?〉


ゴラムの視線の先には人影がいた。


〈あれは、Aだな〉

「……A?いとしいしとの?」



その人影はゴラムへと歩み寄ってくる。



「……君がゴラム―…否、スメアゴルか」



そう言ってフッと笑みを見せる。ゴラムは驚き顔を隠している人物を覗こうとすると、



〈よせ…、そいつの目を見てはいけない〉

「!!…なんで…?」

「……何、君たちが知るエメラルド色の瞳はもうないよ。今は―…」



そう言ってゴラムを見下ろすその瞳は、炎のように赤く燃え盛っていた。
その瞳にゴラムは大いに興奮した。それはいとしいしとと全く同じ色だったからだ。

・→←3-9. 死の都



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作者名:Haru yama | 作成日時:2021年3月13日 18時

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