混血のエルフ３【指輪物語】 (ページ36)

今日:14 hit、昨日:0 hit、合計:10,830 hit

3-9. 死の都ページ36

その頃、フロド達は死の都の目前にいた。

不気味に緑色に光る建造物に、まるで誘い込まれるように、意識を朦朧とさせながらフロドは歩いていた。

｢フロド様ッ！！｣

そっちはダメだ！とサムがフロドの身体を岩陰まで何とか引っ張り込んだ直後―…
緑色の閃光が空を貫く。
ものすごい音とその噴き出した閃光によって発生した風が、2人を襲う。

そしてゆっくりと開かれた扉からは―…

ギィァァァァァ！！

数えきれない敵の兵と、ナズグルまでもが飛び立った。勿論この兵のいく先には―…

｢みんながっ！早く！急ぎましょう！フロド様ッ！｣

サムがフロドの手を引いた。

2人の前には断崖絶壁に張り付くように、階段がはるか上まで続いていた。

ゴンドールでのろしが上がったのを、アラゴルン達は確認した。そしてレゴラスに呼ばれAも王座に向かう。

｢セオデン王！のろしです！のろしが上がりました！ゴンドールが助けを求めています！！｣

そう言ってアラゴルンは声を荒上げる。
長い沈黙の末に、セオデンは重い口を開いた。

｢あのゴンドールが自ら助けを求めてくるとは…。助けに…、応じよう…｣

そして兵を準備するよう指示を出す。
それをAは離れたところで壁によりかかって見ていた。

彼らと共に行動することはできない、自身の瞳のせいで怯える彼らの傍にいるわけにはいかないと、自ら彼らの元を離れようとしていた。
だが、そんな彼の想いとは裏腹に、彼らは手放そうとはしなかった。

『……』

各々が準備を進める中、Aは静かに瞼を閉じた。