混血のエルフ３【指輪物語】 (ページ35)

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｢どうしてそう言い切る？｣

『オレは…、一度闇に堕ちた身。その身体はもう、光を受け付けることはできない。この瞳もそうだ』

Aの瞳は血のように真っ赤に染まっている。
その瞳に見つめられるだけで、誰もが恐怖に震えるのだった。

｢…この戦いが終わったら、君はどうする？｣

この先、大きな戦が待ち構えている。それでも彼が生きる未来があると信じたい。

『賭けているんだ。奴と』

｢…賭け？｣

Aはスッとアラゴルンから離れ、彼から背を向ける。

『フロドが目的を果たした時、サウロンが朽ちるのが先か、オレが朽ちるのが先か』

｢！！｣

アラゴルンは目を見開く。

『言ったろ？オレは闇に堕ちた身だ、このまま朽ちるしかないんだよ』

｢…ガンダルフに相談しても無理なのか？｣

アラゴルンの問いにAは首を横に振った。

｢…フロドになんて伝えればいいんだ。彼は君のことを―…｣

『オレが彼の前に姿を現さなかったとき、彼ならすぐに理解してくれる』

Aはフロドに対し、アラゴルン達とは異なる別の感情を抱いているようだ。それは仲間意識とはまた違う、何か特別なものなのだろう。

『…そろそろ戻れ。オレに構っていても時間の無駄だ。これからを生きる全ての人のために剣を振るうのだろう？』

そう言ってAはアラゴルンを部屋から出す。アラゴルンは何か言いたげだったが、それを遮るように扉を閉めた。
そして扉越しに、Aは床に座り込んだ。そして自身の手を見つめる。

『(…生きたい…、そう願うのは罪だと。だけど、彼らと過ごす時間が少しでも長く―…いたいな)』

そう心でつぶやき、ゆっくりと瞼を閉じるのだった。

――…

しばらくして、バルコニーに出て外を見つめていると、突然空気が変わったのを感じた。

『…始まる、か』

轟音と共に夜空が明るくなった。遠くで緑色の閃光が放たれている。

『…あそこは、死の都。ナズグルの首領の住処…、フロド達の無事を祈るしかない』

静かに瞼を閉じ、意識を外の世界へと集中させた。