混血のエルフ３【指輪物語】 (ページ33)

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3-7. ミナスティリスページ33

ガンダルフはセオデンへの説得を断念し、ピピンを連れてミナスティリスに向かうと言う。

｢…すまんのう。Aには辛い思いしか与えられない｣

『…構いません、それも運命です。ピピンを連れて行くのですね』

火の玉に触れたピピンは、サウロンに指輪を持っていると勘違いされているため、これ以上彼と一緒に行動するのは危険を伴う。そのため、ガンダルフは彼だけを連れて、先にミナスティリスに向かう事にしたのだ。
メリーはそんなピピンに、二度と会えないかもしれない気持ちを押さえて、ただ寂しそうな顔をしていた。

『…少しお待ちを』

今まさに出発しようとしている時に、Aはガンダルフを引きとめた。

『…ピピンに渡すものが』

｢！｣

Aは小さな袋をピピンに手渡した。はちきれんばかりにパンパンに入っている。
ピピンが中を覗くと沢山の木の実が入っていた。

｢うわぁ！おいしそうな木の実！！｣

ピピンが目を輝かせた。

『…腹がすいたら食べるといい。怖くなったら一口含むといい。まじないをかけたから』

｢…！ありがとう、A！！｣

ピピンは彼の優しさに初めて触れた気がした。いつも無愛想で、冷たい態度を取る。
弓術はレゴラスに劣らず、剣術もアラゴルンに劣らない。
何を考えているのか分からなくて、サルマンを殺してから、キレイだったエメラルド色の瞳から、血のように真っ赤に染まった瞳へと変わってしまった。

その瞳はサウロンを彷彿させ、ピピンは恐れを抱いた。だけど彼は、以前と変わらず接してくれる。
そしてその優しさはもう二度と、触れられないと思わされるようなものだった。

｢用は済んだな？ならば出発じゃ！！｣

ガンダルフが飛影の耳元で呪文のように何か囁けば、風のように走り去っていった。

｢…ねぇA。大丈夫かな…あいつ｣

メリーはピピンが見えなくなるまでずっと見つめていた。
二人はいつも一緒だった。それが今初めて離れ離れになったのだ。

『…大丈夫だ、光の下にいる限りな』

大丈夫だという保証はないが、少なくともガンダルフがいる限り問題はないと信じていた。