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｢望は何だ？灰色のガンダルフよ｣
サルマンは言い切れない怒りを覚えながらも、穏やかな声で言った。
｢オルサンクの鍵か？それともパラド＝ドウァの鍵か？七人の王の王冠と、五人の魔法使いの杖か？｣
｢あんたの裏切りで大勢が死に、また危険に曝されている｣
ガンダルフは慎重に言葉を選んで言った。
｢敵と深く関わっているお前なら、まだ彼らを救える｣
｢そうか…、情報が欲しいんだな｣
サルマンはニヤリと笑い、Aを突き出した。
｢こいつが一番よく知っているはずだ…。そうだろ？Aよ｣
『……』
杖でAの首を締め上げるサルマンに、ガンダルフ達は目を見開きそれぞれが武器を手に持つ。
｢まぁいい。少し教えよう｣
締め上げながらサルマンは口を開いた。
｢中つ国の中心で、お前に見えざりし者が墜落を…、偉大なる御目は百も承知だ｣
サルマンは魔法でAを壁に押し付けると、懐からサッとオレンジ色の球体を取出し、語り掛けた。
それを見た途端、Aから苦痛の呻き声が上がる。
｢A…！！｣
｢この瞬間も事を進めておられるのだよ｣
｢その攻撃は速やかだ｣
｢お前らは皆、死ぬ！｣
｢賢者のお前にはわかっているはず｣
｢その黒服の男がゴンドールの王位に座るはずがない！！｣
サルマンは真っ直ぐにアラゴルンを見つめて言い放った。
｢闇から這い出たレンジャーごときが王位に就くなどと、不可能な事だ｣
サルマンは憎悪に満ちた目でアラゴルンを睨んでいた。
『…だま、れ』
｢ほう、まだ口が利けるのか｣
首を絞められた上、その球体から感じる強すぎる闇の力に打ちのめされそうになるも、何とか意識を保ち続けるA。
｢お前はこの世界を生きれない、そうだろう？｣
サルマンはもがき苦しむAを横目で見ながら、言う。
｢ガンダルフは身近な者も、寵愛する者も、平然と犠牲にする｣
｢どのような甘言を与えて、あの小さな者を死への旅へと送り出したのだ？｣
｢もう十分だ！アンタは黙ってろ！｣
ギムリがAの苦しむ姿を目の当たりにしながら、叫ぶ。
｢口に矢をぶち込め！｣
彼は一緒に馬に跨っているレゴラスに命令した。
｢いかん！Aを解放して降りてくるんじゃ、サルマン！命は助けよう｣
ガンダルフは厳しい顔で塔に向かって呼びかけた。
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作者名：Haru yama | 作成日時：2021年3月13日 18時
