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「アラゴルン、砦に退却しろ!!」
砦の上部からセオデンの悲痛な命令が下った。
「退却しろ!!」
彼は無念の表情を浮かべてエルフ語で命じた。
「どうした!止めるな!ワシはまだやれるぞ!!」
エルフの兵士に抱えあげられて、ジタバタしているギムリがそう叫んでいた。
「A!!」
アラゴルンの視界範囲内にいるAにもそう叫ぶが、全く声が届いていないのか、逆にもっと遠くへ行こうとしていた。
「行くな!!」
Aはウルク・ハイの中へと消えていってしまった。
アラゴルンは部隊を優先とし、砦へと戻っていく。
ウルク・ハイを打ちのめしていたAであったが、ふとハルディアが剣を振るいながら命じている姿が目に入った。
「うわぁああ!!」
『!!』
彼は背後からの不意打ちに遭い、岩壁にぶつけられた。
我に返ったAは、長剣を片手に彼の元へ向かう。
Aは彼を襲ったウルク・ハイ目がけて、背後から襲い首を撥ねる。
そのまま次に向かってくるウルク・ハイの喉を斬り裂き、息の根を止めていく。
『ハルディア!!』
Aは自分の周囲の敵を、洗脳したウルク・ハイに任せて、石床へ横たわっているハルディアの元へ駆け寄る。
「A様…、よくご無事で…」
彼は虫の息で呟いた。
「ハルディア!!」
背後から狭い石段を駆け上りながら、敵を斬っているアラゴルンの声が近づいてきた。
「…あなたは…、一人では…ありませ―…」
彼はAの腕の中で、微かに微笑むとそのまま息絶えた。
「ハルディア!!」
退却するエルフの兵士達をかき分け、アラゴルンが駆け寄ってきた。
Aはそっと彼を寝かせると、再びその瞳を紅く染めてエルフの兵士達の中へと姿を消した。
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作者名:Haru yama | 作成日時:2021年3月13日 18時