2-26. 開戦 ページ14
雨が降り出し、視界を悪くする。
Aもエルフ族の弓矢隊に混じって待機する。
すると砦内にずらりと並んだ兵士達の間から、一本の矢が誤って放たれた。
「待て!」
とアラゴルンが叫んだが既に手遅れ。
矢はぐさりと一頭のウルク・ハイの喉元に突き刺さり、敵は前のめりに倒れた。
次の瞬間、連中の首領が開始の合図をだし、怒涛の如く彼らが城壁目がけて押し寄せてきた。
「撃ち方、用意!!」
アラゴルンの掛け声が響いた。
その声にエルフの部隊が弓をきつく引いた。
「放て!!」
アラゴルンがエルフ語で命じる。
無数の矢が荒野に飛び、ぐさぐさと敵の首や脇に突き刺さった。
「一斉に撃て!!」
セオデン王の命により、今度はローハンの軍隊から矢が放たれた。
「後方部隊、放て!!」
アラゴルンの掛け声で、再び人間の部隊の後ろにいるエルフの弓隊から無数の矢が黒い雨のように降り注いだ。
「うわぁあああ!!」
「あぁあああ!!」
悲痛な叫びと共に、ウルク・ハイの長く黒い矢にやられたエルフの弓隊がバタバタと砦から真っ逆さまに落ちていく。
Aはひたすら敵の急所に矢を放っていく。
「梯子だぞ!!」
アラゴルンが叫んだ。Aもそれを目視する。
ウルク・ハイらは次々と高くそびえたつ石の砦に梯子を引っ掛け、登り始めている。
Aは隠し持っていた火薬を矢に付け、火をつけるとその梯子目がけて矢を放った。
火矢が狙いを定めた梯子の結び目に突き刺さり、ウルク・ハイ達は梯子に登った体制のまま、燃え盛る炎に包まれ、梯子ごと地上へと転落していった。
エルフやアラゴルン達は驚愕した顔で、全員揃って矢が放たれた方向を見た。
「A…!!」
そこには、今でも火矢を弓に番えるAの姿があった。
次々に確実に矢を放ち、梯子を落としていく。
それを感心したように見ると、アラゴルンは兵士達に剣を抜くように命じた。
とうとう、本格的にウルク・ハイが砦内に侵入していき、皆が剣で対抗していく。
23人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Haru yama | 作成日時:2021年3月13日 18時