片割れの呪術師【呪術廻戦】 (ページ41)

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【過去編】10話　足手纏いページ41

心地よい体温に揺られ、そっと瞼を開ける。目の前には広くてがっしりとした…、誰かの背中があった。

『…悟？』

｢あ？起きた？｣

『…何で…？』

｢なんでってお前、寝たまま起きねーから｣

『…いや、そこじゃなくて』

どうしてここに五条がいるのか、Aには全く見当がつかなかった。

｢…何で単独任務なんか引き受けている？断ることだってできるはずだ｣

いつになく真剣な声色に、Aは黙り込んでしまった。五条が気にしていることは十分理解できる。

3級呪術師であり、単独任務は出来ないはずなのに、どうして―…ろくに戦力にすらならない彼女が現場に赴かなければならないのか。

『断らないよ、強くなりたいから』

｢だからといって、術式を発動するたびに反動を受けていたら、身体が持たないぞ｣

『…っ…』

五条に術式を見られて(・・・・)しまった…、そのことに後悔するA。人前で使わないように…、誰にも知られてはいけない…、そう決めていたはずなのに。

｢…A｣

『…どうして、私は弱いんだろう』

Aは言葉を零し、五条の肩に顔を埋める。

『…強くならないと、ダメなのに…。足手纏いになんか…、なりたくないのに』

4人の中で実力も術師としての能力も、1年の時から格段に成長したわけではなく。地道に成果は上がってきているも、悟と傑がいれば、自分なんていてもいなくても変わらないんじゃないか…、そう考えてしまう。

だけど―…、
目的を実行するためには強くならなければならない。例えそれが、自分の身体を犠牲にしてでも。

｢……｣

悔し気に無意識に五条の肩から垂らしていた手に力が入るのを感じ取り、五条は何も言わずにそのまま寮へと戻るのだった。