25話 差し金 ページ27
部屋の空気はピリピリしていた。その発端は五条悟。彼は憤りを感じていた。
今日の五条悟の任務はどれも自分より下の階級の人間でもやれる内容だった。不思議に思いつつも全て終わらせた。それにお守りが弾けたのも不安だ。高専に戻ると虎杖悠仁が死亡したという情報が入って来た。
意図的に仕組まれていたと考えるのが妥当だった。おそらく、虎杖悠仁の生存に反対している上の差し金だろう。
「上の連中、全員殺してしまおうか?」
そう彼が口に出すと、補助監督である伊地知はさらに震え上がった。
「珍しく感情的だな」
そこに家入硝子がやってくる。
「―…宿儺の器か。好きに
アルミの手術台には心臓を抜き取られた虎杖がいた。
「役立てろよ」
「役立てるよ。誰に言ってんの」
同期の2人が他愛のない会話をしていると―…
「…!」
突然死んだと思われていた虎杖悠仁が蘇ったのだ。家入は解体できないことを残念がり、五条は笑う。
虎杖はこれから死亡扱いとして、強くなるために訓練を開始することになった。
―…
家入と五条は医務室にいた。すると補助監督がその部屋に駆け込んでくる。
「家入さん!至急治療をお願いします!!」
血相を変えて話す補助監督に少し驚く2人。
「どったのー?そんな急いで」
「久禮田 A1級呪術師が、特級呪霊複数体と対峙し、意識不明なんです!!」
「…Aが!?」
しかも、特級呪霊を複数体…!?
家入は事の重大さを察知し準備を始めた。
―…
「治療は終わったよ。幸い、命に別状はないようだ」
家入は廊下にいた五条に話しかける。そしてAのいるベッドへと案内した。
「…五条」
家入は恐ろしいものを見たのか、珍しく体が震えていた。
「…Aの右顔面を覆っている仮面の下は見たことはあるか?」
治療の際、仮面が割れていてその下が露になっていたが、今は包帯で応急処置をしたという。
「いや、ないけど…。何か、あったの?」
「Aの身体がどうなっているのか、
家入が見たものは―…、本来あるべきモノがなく、
あってはならないモノが、そこにあった。
「…特級複数体相手にして、勝敗はともかく、生きて帰って来た…。それだけでも十分だ」
家入は今は眠っているAのベッドに近づく。
「…12年間、ずっと1人にしてごめんね…A」
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作者名:Haru yama | 作成日時:2021年3月8日 0時