23話 お守り ページ25
数日後、Aは任務に発つ為準備をしていると、
「A」
呼ばれて振り返ると、五条がいた。五条はAを抱きしめる。
「これ、あげる」
抱きしめるや否や、目の前にお守りのようなものを出される。
『…何これ。君の呪力を感じるけど』
「お守りだよ」
『…何で?』
「Aに何かあった時、例えば気絶したら、僕に分かるようになってるんだ」
先日のあの話が相当ショックだったのか、急に過保護になったなぁと思うA。
『へー、落とさないようにするわ』
受け取りポケットにしまう。
「今日の任務はAなら余裕だと思うけど、油断しないでね」
『…君も任務じゃないの?』
「そうだよー、本当はAとずっと一緒にいたいのにー」
『……』
ベタベタくっついてくる五条をどうにか剥がす。
「…んじゃ、気をつけていってらっしゃい」
『君もね』
準備ができたAは軽く手を振って、部屋を後にした。
――
任務は滞りなく遂行できたのだが、
「久しぶりだね、A」
目の前にいる人物にAは目を見開く。
『…夏油…、傑…?』
そこにはかつての同級生であり、呪詛師になった夏油傑がいた。ニコニコしながら片手を上げてこちらに歩み寄ってくる夏油に、Aは驚く。
「12年ぶりだね、てっきり呪詛師になったって聞いたからすぐに会えると思っていたよ」
少し寂し気に言われてしまい、Aは困惑気味。
「…A、迎えに来たよ。悟の元から逃げよう」
スッと差し出されるその手にAは何を言っているのだと、呆然としてしまった。
「Aはここにいるような人材じゃない!君と私なら、この腐った世界も変えられる!呪術師だけの世界を作れる!君が悟に見つかったと知った時から、私は君を迎えに行く準備をしていた。
12年越しになってしまったけど、私と共に逃げよう、A」
にっこりと微笑んでくれる夏油は、高専時代の彼のままだった。
『…変わったね、傑』
A自身、どうして夏油が呪詛師になったのか経緯を知らない。なので、彼の言葉は何一つ響かなかった。
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作者名:Haru yama | 作成日時:2021年3月8日 0時