片割れの呪術師【呪術廻戦】 (ページ23)

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21話　最高傑作ページ23

『…こんな感じです。ざっと』

｢…A…、お前―…｣

生徒3人は目の前で起きた光景を全く理解できないようで、思考回路が停止している。五条はAに近づき、両肩を掴む。

｢どういうことだ…、Aのその肉体そのものが召喚する媒体だというのか！？｣

『ご名答』

｢！！｣

『私は久禮田家で最も優秀で且つ、最高傑作だよ』

｢…それって一体どういう―…｣

『生後間もない頃に行われた人体実験により、この肉体は半永久的に呪霊を取り込むことが可能になった』

五条の言葉を遮るように、Aは凛とした口調で言う。だけどそれは―…あまりに衝撃的な話でもある。
人体実験―…、それが日常的に行われていたという事実に、そしてその被験者がA自身であったことに、誰もが言葉を失った。

『この右顔面を覆う仮面は、呪霊の召喚に用いる。同時に呪力を抑制することも可能』

Aは両肩を掴む五条の手をそっと外す。

『…幻滅した？』

Aは五条を見上げて首を傾げる。

『…悟、これが私の実力であり戦い方。同期の前で隠していた理由は―…その当時は制御できずに暴走を繰り返していたから』

｢…暴走？｣

『当時、一部の呪霊は呪力の関係で主従関係を結べずにいた。術式も使えたけど、反動が大きすぎて、呪霊に肉体の主導権を奪われたりしていた』

｢！！｣

それが原因で、Aは同期達の前では仮面を外すことは出来ず、後方支援に徹していたのだ。万が一、Aの中にいる呪霊が暴走した場合、彼らを巻き込む危険性があったから。

『だから、悟達に明かすことができなかった』

五条は何も言わずに、ただAの身体を抱きしめた。

『…悟？』

｢…A、話してくれりゃあ解決法だって見つけられたじゃねぇか。何で1人で抱え込んでいるんだよ、そんな重大なこと｣

Aは五条の言葉に驚きつつも、何も答えない。

｢僕が強い事、分かっているくせに。Aが暴走しても、止めることだって出来たんだよ｣

『……』

｢もう…、絶対に離すつもりはないから｣

生徒達の前で何やってんだよ…、と心の中でツッコミつつも、Aは五条の背中をポンポンと撫でる。

『そっか』

そんなこんなで任務を終え、4人とAは高専に戻るのだった。