14話 懐かしさ ページ16
｢…一番喜ぶのは、悟だろうな｣
楽巖寺が去った後、夜蛾はそう口を開く。
『1年縛りってのが…さすがだなって思ったけど』
｢…その理由を知っているのか？｣
『最終的には死刑執行だろうね』
｢！！｣
『まぁ、楽に生かすはずがないよね。理由はどうであれ12年間呪詛師を名乗っていたことに変わりはないんだから』
｢……｣
Aの言葉に夜蛾はショックを受けるも、このことを五条や家入達に伝えようとは思わなかった。
本人の口から話してもらうのが一番いいと思ったからである。
『…夜蛾先生、ここで副担をするなら流石に拠点が欲しいんですが』
｢あぁ手配しよう…、A｣
『？』
先を歩いていたAを引き留め、夜蛾はAを抱擁した。
｢…12年間…、疑ってしまってすまなかった。生きていてくれて…、よかった｣
こんな体格のいい人でも泣くことがあるのか、と思いつつ、Aはポンポンと彼の背中を叩く。
『…んで？挨拶は来週？』
抱擁から解放された後、Aは副担任について夜蛾に訊ねる。
｢そうだな、悟は今週遠方で任務だから、それまでの間にAは部屋の準備などをしていてくれればいい｣
『…分かりました。夜蛾先生が下の名前で呼ぶなんて、懐かしい気がする』
｢…あぁ、苗字だと嫌がるかと思い｣
夜蛾なりの気遣いであると分かり、素直に感謝した。
――…
任務の報告がてら、学長のところに立ち寄ると、衝撃的なことを知らされる。
｢…え？Aが1年の副担任に？…何で急に｣
｢上の采配だ。急に手のひら返し…、という具合だが今は従うしかないだろう｣
夜蛾はそう言うと、さっさとAの元に行けと手で促す。
｢…Aは？｣
｢今頃荷物の整理を終えて、休んでいる頃だろうな｣
｢…どうも！｣
僕はすぐさまAの元へと向かった。
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作者名：Haru yama | 作成日時：2021年3月8日 0時
