11話 同族殺し ページ13
伏黒の報告を受け、五条は現場を訪れていた。
「…ここに、Aがいた」
任務を終えて高専に戻ると、伏黒達が特級呪霊と遭遇し、更にその現場にAが駆けつけ助けられたという情報が入ってきた。
助けた理由を尋ねたのかと、伏黒に聞くと、〔五条悟の教え子なら、助けるのは当然…、と〕
「…だったらどうして、僕から逃げるんだ」
明らかに距離を置かれているようにしか思えない。どうしてAが彼らの元にいたのか…、偶然とは到底思えないし、だからといって何らかの目的で動いているのかも分からない。
Aの地位を確立させようとするにも、12年という長い歳月ではどうすることもできない。それほどまでに、Aの存在は虎杖や夏油に次いで脅威となっているのだろう。
「…A」
弱々しく彼女の名前を呟いた声に、
『…呼んだ?』
「!!」
唐突な声に五条が後ろを振り返ると、白装束を着たAが立っていた。
「…どうして」
『名を呼ぶ声が聞こえたから』
Aはただ首を傾げて五条を見ている。
『…地位を戻せそうにないみたいだね、案の定』
「…っ…」
『今更だし、私は気にしないよ』
Aは条件を提示した割に、それほど期待していなかったようで、軽く伸びをしている。
『久禮田家一族を殲滅し、呪詛師と呪霊を排除する。やっていることは君ら呪術師と何ら大差ないけど、立場上どうすることもできないなら、今の方が断然楽』
何にも縛られることなく、フリーに活動できるのも悪くない…。そう言って。
「…両者から追われる…、そういうことか?」
『そうだね』
Aは五条の言葉に頷き、そっと手に触れる。
『…宿儺が虎杖君の体内にいる限り、私は味方だよ』
「!!」
『…じゃ、また』
そう言ってAは五条から背を向ける。だけど五条はそれを引き留めた。
167人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Haru yama | 作成日時:2021年3月8日 0時