9話 都立高専1年 ページ11
高専に内通者を仕込み、その情報を元にAは呪術師より先回りして呪詛師を殺害していた。
また並行して、目障りな呪霊も排除していく。
Aの行動だけで見ると、呪術師と大差ないが、地位を奪われた以上、表向きには呪詛師として活動している。
廃ビルにたどり着いたAは、ジッと下を見下ろす。そこには宿儺の器の虎杖悠仁、同期の伏黒恵、そして釘崎野薔薇の高専1年がいた。
相手にしているのは2級呪霊。あの3人ならどうにかなるだろう…、と帳が下りているのを確認しつつ様子を窺う。ところがしばらくして、突如全く違う気配を感じ取る。
『…この気配は―…特級呪霊』
再び下の様子を窺うと、伏黒と釘崎が地面に叩きつけられているのを確認した。虎杖もそれなりに抵抗しているが、あの3人ではまず無理だろう。とどめを刺そうと、特級呪霊が倒れている2人に向かっていく。
Aは小さく息を吐き、彼らの元へ飛び降りた。
――
2級呪霊の相手をしている時、突如として現れた特級呪霊に苦戦を強いられる。虎杖は遠くに飛ばされてしまい、俺と釘崎は瀕死状態に追い込まれる。どうにか立ち上がろうとするも、骨が折れていて身体を動かすことができない。
このままではやられる―…そう思った矢先、
「!!」
向かってきた特級呪霊の身体が吹き飛んだのを見た。そして、自分の前に立つ白装束の者。
「…アンタ…は、呪詛師の…」
『意識はあるようだね。巻き込まれる可能性があるから、下がってもらおうか』
そう言うや否や、軽々と俺の身体と釘崎の身体を抱えて、後ろへと下がらせる。背後から特級呪霊が攻撃を仕掛けようとするも、
『うるさいなぁ…、邪魔しないでよ』
「!!」
その攻撃は白装束の人には届かず、まるで結界を張っているのか弾かれる始末。そして安全な場所まで運ばれると、遠くに飛ばされていた虎杖の姿もあった。だが、意識を失っているようで眠っている。
『彼は宿儺と入れ替わられると面倒だから、眠ってもらっている。君達はここで待機を』
「…っ…、アンタ1人で…やるのか?」
相手は特級呪霊だ…、それに五条先生の話だとこの人の実力はそれほど強くないと聞く。だけど白装束の人は、ただ笑っている。
『大丈夫、任せて』
「!!」
そう言うと、特級呪霊の元へと歩き出した。その背中は何故か…、頼りがいのあるように見えた。
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作者名:Haru yama | 作成日時:2021年3月8日 0時