0話 再会 ページ2
久禮田 Aという呪詛師は有名だ。
高専2年の時に、術式を使い人を殺した。
傑の非術師を全て殺すという、アホめいた信念ではなく、他の信念を持って人を殺している。
ただし呪術師が一般人を殺すことは違法である。呪詛師を見つけたら、直ちに殺さなくてはいけない。それが初恋の相手だったとしても。
――…
その報せはあまりに突然だった。
「Aが任務先で、一般人を殺した」
夏の暑さもそれほど涼しさがあり、8月にしては久しぶりの雨だったその日。
3日前に任務に出たきり連絡が途絶えていたAを心配し、探しに行こうとしていたところで、担任の夜蛾正道が五条悟に放った言葉だった。
五条はすぐに夜蛾に掴みかかり、一緒に聞いていた家入硝子と夏油傑が五条を止めに入るまで、その乱闘は続いた。
――アイツが?Aが…、人を、殺す??
何よりも信じられない事だった。入学時から呪術師としての信念をしっかりと持っている奴だ。
任務では常に後方支援に回り、俺と傑のサポートをしてくれていたほど。洞察力が鋭く、判断も的確で、2人で任務に行く時は毎回、その指示の元動いていた。
実力は確かに4人の中では劣るかもしれないが、それでもAの人柄に惚れていた。御三家出身である俺を、特別扱いをしない不思議な奴だった。
「Aは見つけ次第殺せ」
夏油に抑えられた五条に夜蛾は最後に言い放つ。もちろん夜蛾だって辛くないはずがない。
教え子であり、これからの成長を見守っていく矢先の事だった。
【3級呪術師・久禮田 Aの一般人殺し】
呪術高専内に一瞬にしてこのニュースは広まった。そしてこの情報には続きがあった。
【3級術師であるにも関わらず、応援に駆け付けた1級術師を瞬殺した】というものだ。
そこでAの実力に疑問を呈する者が続出した。本当に―…奴は3級なのかと。本当はかなりの実力者なのではないか…、そう疑う者まで現れた。だが五条には高専在籍中、Aに関して不可解な点が多かったことを思い出す。
――等級に見合わない任務を通達されること、そして幾度となく呪霊の襲撃を受けることだ。
…Aが、理由もなく人を殺すはずがない。何か裏があるはずだ…、そう思っていた。
その12年前の謎をもつ―…、
初恋の人であり殺すべき対象の彼女に、道でばったり遭遇した。
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作者名:Haru yama | 作成日時:2021年3月8日 0時